「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」という絶対的な信頼性を掲げるトヨタ ランドクルーザー。そのフラッグシップである300系は、まさに「King of 4WD」の名にふさわしい圧倒的な存在感と性能を誇ります。
しかし、その王者の称号とともに、購入を検討する誰もが抱くであろう、一つの大きな疑問が浮かび上がります。
「ランクル300の燃費って、実際どうなの?ガソリンとディーゼル、どっちを選べば後悔しないんだろう?」
カタログに載っている燃費の数字だけでは、日々のガソリン代がいくらになるのか、リアルなイメージは掴みにくいですよね。ネット上には様々な情報が溢れていますが、「本当に信頼できる、オーナーの生の声が知りたい」というのが本音ではないでしょうか。
この記事では、そんなあなたの疑問に終止符を打つべく、ウェブ上の膨大なオーナー報告データを徹底的に分析。ランドクルーザー300の3.5L V6ガソリンエンジンと、3.3L V6ディーゼルエンジンの「本物の実燃費」を、市街地、高速道路、郊外といったあらゆる走行シーンで解き明かします。
この記事を最後まで読めば、あなたのランクル300に対する燃費の不安は完全に解消されます。ガソリンとディーゼルの年間燃料コストの差額から、自身のライフスタイルに最適なエンジンはどちらなのか、自信を持って選択できるようになることをお約束します。
結論:ランクル300の公式燃費とオーナー計測による実燃費のギャップ

購入を検討する上で最初のステップは、メーカーが公表する数値と、実際に路上で記録されている数値とのギャップを正確に把握することです。
結論から言うと、「特にガソリンモデルの市街地走行において、公式燃費と実燃費には大きな乖離が存在します」。
以下の表は、ランドクルーザー300の公式カタログ燃費(WLTCモード)と、多数のオーナーから報告された実燃費の平均値を直接比較したものです。
| エンジン種類 | 公式WLTCモード (総合) | 公式WLTCモード (市街地) | 公式WLTCモード (高速道路) | オーナー報告による平均実燃費 (総合) |
|---|---|---|---|---|
| 3.5L V6 ガソリン (V35A-FTS) | 7.9~8.0km/L | 5.3~5.4km/L | 9.6~9.7km/L | 約6.5~8.0km/L |
| 3.3L V6 ディーゼル (F33A-FTV) | 9.7km/L | 7.2km/L | 11.3km/L | 約8.5~10.5km/L |
この表から浮かび上がる最も重要な事実は、ガソリンモデルの市街地燃費の落ち込みです。
公式データでは市街地モード燃費が5.3~5.4km/Lとされていますが、オーナー報告では都心部の通勤などで「リッター4km台」や、交通量の多い状況では「3km台」にまで落ち込むという声も少なくありません。これは、期待値との間に大きなギャップが生まれる可能性があることを示しています。
一方で、ディーゼルモデルは公式の市街地モード燃費7.2km/Lに対し、実燃費も7.0~8.5km/Lと、公式値に近いか、むしろ上回るケースも見られます。
この違いは、オーナーの満足度に直結します。ディーゼルオーナーは「思ったより燃費が良い」と感じる一方、ガソリンオーナーは「思ったより燃費が悪い」と感じやすい傾向にあるのです。この「心理的なギャップ」こそ、あなたがエンジンを選択する上で最初に理解しておくべき、極めて重要なポイントです。

【ガソリンモデル】V6 3.5Lターボの実燃費をシーン別に徹底解剖

最高出力305kW(415PS)を誇る3.5L V6ガソリンツインターボエンジンは、その圧倒的なパワーでドライバーを魅了します。しかし、そのパフォーマンスには相応の燃料消費が伴います。ここでは、オーナーたちの声をもとに、その実力をシーン別に深掘りします。
市街地走行:リッター3km台も?ガソリン車の最も厳しい現実
ランクル300ガソリンモデルの燃費における「アキレス腱」は、間違いなく市街地走行です。約2.5トンという巨体を信号の多い都市部で動かすには、相応のエネルギーが必要となります。
オーナーが集うコミュニティサイト「みんカラ」では、「通勤で4(km/L)」、「市街地走行だとリッター5〜6程度です」といった報告が散見され、これが現実的な数値であることを示唆しています。
さらに衝撃的なのは、「燃費走行を意識せずスポーツ走行したら3.1キロがでました!」、「ひどい時は3km/L台も…」という声です。この点を許容できるかが、ガソリンモデル選択の一つの分水嶺となるでしょう。
高速道路走行:本領を発揮する巡航性能
市街地での苦戦とは対照的に、高速道路はV6ツインターボエンジンがその真価を発揮するステージです。
オーナーからは「高速道は7.5〜8.0(km/L)」という報告に加え、クルーズコントロールなどを活用した定速走行では「9.5~11.0km/L」、あるいは「11km/L台も記録したことがある」という声も上がっています。
これは、多段化された10速オートマチックトランスミッション(Direct Shift-10AT)がエンジンを最も効率的な回転域に保ち、約200kgの軽量化を果たした新開発プラットフォーム(GA-F)が空気抵抗を低減させることで実現されます。
ガソリンエンジンのパワフルな加速性能に興味がある方は、こちらの記事もぜひご覧ください。ディーゼルとの違いを詳しく解説しています。
郊外・バイパス走行:実用燃費の現実的な中間点
信号が少なく、比較的スムーズに走行できる郊外の道では、市街地と高速道路の中間的な燃費を示します。多くのオーナーが「7.5~9.0km/L」前後を報告しており、山道と高速道路が混在するルートで8.2km/Lを記録したという実例もあります。
ガソリンモデルは、走行環境によって燃費が大きく変動する「二つの顔」を持つエンジンと言えます。あなたの主な運転シーンがどちらに近いかを冷静に判断することが重要です。
【ディーゼルモデル】経済性と航続距離で圧倒するV6 3.3Lターボ

最大トルク700Nという強大な力を低回転から発生させる3.3L V6ディーゼルツインターボエンジンは、ランクル300のもう一つの心臓部です。その最大の魅力は、卓越した経済性と長大な航続距離にあります。
市街地走行でも光る経済性
ディーゼルモデルは、市街地走行においてもガソリンモデルに対して明確な優位性を示します。オーナー報告では「7.0~8.5km/L」という数値が一般的で、公式の市街地モード燃費である7.2km/Lを安定して達成、あるいは上回ることが多いのが特徴です。
驚くべきことに、片道わずか3.6kmという極端に短い通勤距離でも6~8km/Lを記録したという報告もあり、ディーゼルエンジンが低速域でも効率的に機能することを示しています。
高速道路走行:満タンで1,000kmも夢じゃない
高速巡航は、ディーゼルエンジンの効率が最も輝く瞬間です。
オーナーからは「11.5~13.0km/L」という素晴らしい数値が数多く報告されています。中には、長距離ドライブで「13.2km/L」という、このクラスの車両としては驚異的な記録を達成したユーザーもいます。
この優れた高速燃費は、ディーゼルエンジンが持つ低回転域からの強大なトルクに起因します。わずか1,600回転で最大トルク700Nを発生させるため、アクセルをわずかに踏むだけで巨体を軽々と巡航速度に乗せることができ、エンジンに余計な負荷をかけずに済みます。
この性能は、「長大な航続距離」という実用的なメリットに直結します。
ランクル300の燃料タンク容量は80L。仮に高速燃費を12.5km/Lとすると、計算上の航続可能距離は実に「1,000km」に達します。
これは東京から福岡までの距離に匹敵し、給油の回数を大幅に減らすことで、長距離移動の快適性を劇的に向上させます。これこそ、ディーゼルモデルが持つ「実用的なスーパーパワー」と言えるでしょう。
ただし、ディーゼル車には尿素SCRシステムで用いる「AdBlue(アドブルー)」の補充が不可欠です。その費用や頻度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
どっちがお得?ガソリン vs ディーゼルの年間燃料費を徹底シミュレーション

「リッター何キロ」という数値を、より現実的な「年間でいくらかかるのか」という金額に落とし込むことで、ガソリンとディーゼルの選択はさらに明確になります。ここでは、年間走行距離別に年間の燃料代と5年間の総額をシミュレーションしました。
| 項目 | 3.5L ガソリン | 3.3L ディーゼル |
|---|---|---|
| 平均実燃費 | 7.0km/L | 9.5km/L |
| 使用燃料 | ハイオクガソリン | 軽油 |
| 想定燃料価格 | 184円/L | 154円/L |
| 年間走行距離 5,000km | 約131,429円 | 約81,053円 |
| 年間走行距離 10,000km | 約262,857円 | 約162,105円 |
| 年間走行距離 15,000km | 約394,286円 | 約243,158円 |
| 5年間総額 (年1万km走行) | 約1,314,285円 | 約810,525円 |
| 5年間の燃料費差額 | – | 約503,760円お得 |
※平均実燃費はオーナー報告の中間的な数値を採用。燃料価格は2025年10月時点の全国平均価格を参考に設定。
このシミュレーションが示す通り、年間10,000km走行するドライバーの場合、ディーゼルモデルはガソリンモデルに比べて「年間約10万円、5年間で約50万円」も燃料費を節約できる計算になります。
もちろん、ディーゼルモデルは車両本体価格がガソリンモデルよりも高価です(例:ZXグレードの価格差は約30万円)。しかし、この燃料費の差額を考慮すると、平均的なドライバーであれば「約3年でその価格差を回収できる」損益分岐点を迎えることになります。
この経済的なメリットは、ディーゼルモデルを選ぶ非常に強力な動機となるでしょう。
燃料費だけでなく、税金や保険料を含めたトータルな維持費については、以下の記事でさらに詳しく比較しています。
先代ランクル200からどれだけ進化した?燃費性能を比較

ランドクルーザー300の燃費性能を評価する上で、先代モデルである200系との比較は欠かせません。果たして、V8エンジンからV6ツインターボへのダウンサイジングは、どれほどの進化をもたらしたのでしょうか。
ランクル200 (4.6L V8) の実燃費:
- オーナー報告によれば、市街地で4.3~5.5km/L、高速道路でも6.7~8.5km/L程度が実態でした。カタログ燃費(JC08モード)でも6.7~6.9km/Lという数値です。
ランクル300 (3.5L V6) の実燃費:
- 前述の通り、市街地で5.0~6.5km/L、高速道路では9.5~11.0km/Lを記録しています。
比較すると、特に高速走行時の燃費向上が著しいことがわかります。これは、約200kgもの大幅な軽量化を実現した新開発のGA-Fプラットフォームと、エンジンのダウンサイジングおよび10速ATの採用という、トヨタの技術革新が明確な結果として表れたものです。
ランクル200からの乗り換えを検討しているオーナーにとって、この燃費の進化は大きな魅力となるはずです。
あなたの燃費はもっと良くなる!燃費を改善する5つの方法

カタログ燃費と実燃費に差が生まれるのはなぜでしょうか。そして、どうすれば自身のランクルの燃費を少しでも向上させることができるのでしょうか。ここでは、燃費に影響を与える主要な要因と、オーナーができる対策を解説します。
燃費を悪化させる主な要因
運転スタイル:
- 急発進、急加速、急ブレーキは燃費悪化の最大の原因です。特に重量級のランクルでは、一度失った速度を取り戻すために大量の燃料を消費します。
タイヤとカスタム:
- 純正タイヤから、より重く、転がり抵抗の大きい「オールテレーン(A/T)タイヤ」や「マッドテレーン(M/T)タイヤ」に交換すると、燃費は確実に悪化します。
空気抵抗の増加:
- ルーフラックの装着やリフトアップといったカスタムは、車両の空気抵抗を増大させ、特に高速走行時の燃費を悪化させる要因となります。
メンテナンス不足:
- エンジンオイルの劣化、エアフィルターの詰まり、不適切なタイヤ空気圧などは、エンジンの効率を下げ、燃費を悪化させます。
燃費を向上させるための対策
穏やかな運転を心がける:
- 車間距離を十分に保ち、先の信号を予測するなど、加減速の少ないスムーズな運転を実践しましょう。
タイヤの空気圧を適正に保つ:
- 定期的にタイヤの空気圧をチェックし、メーカー指定の値に保つことは、最も簡単で効果的な燃費改善策の一つです。
不要な荷物は降ろす:
- 車重は燃費に直結します。使わない荷物は車内から降ろし、車体を軽く保ちましょう。
定期的なメンテナンス:
- エンジンオイルやエアフィルターの定期的な交換は、エンジンの健康と燃費性能を維持するために不可欠です。
カスタムの影響を理解する:
- オフロード性能や見た目を向上させるカスタムは魅力的ですが、燃費悪化という代償が伴うことを理解した上で計画的に行いましょう。
これらの要因を理解し対策を講じることで、あなたのランドクルーザー300の燃費性能を最大限に引き出すことが可能になります。
より詳細なスペックは、公式サイトでも確認できます。
外部リンク
ランクル300の燃費に関するよくある質問(Q&A)

ランクル300の燃費に関して、特に多く寄せられる10の質問とその回答をまとめました。
まとめ:あなたのライフスタイルが、最高のエンジンを決める

この記事では、ランドクルーザー300のガソリンモデルとディーゼルモデルの実燃費について、オーナーのリアルなデータを基に徹底的に分析してきました。
最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- 実燃費の平均値: ガソリンモデルが約6.5~8.0km/L、ディーゼルモデルが約8.5~10.5km/L。
- 経済性の勝者: 燃費性能と燃料単価の安さから、「経済性ではディーゼルが圧倒的に有利」。年間1万km走行で約10万円の差が生まれます。
- ガソリンの魅力: 燃費では劣るものの、静粛性の高さと415PSを誇るパワフルで滑らかな加速フィールは大きな魅力です。
- ディーゼルの実力: 優れた経済性に加え、満タンで1,000km以上走行可能な長大な航続距離は、長距離移動が多いユーザーにとって何物にも代えがたいメリットです。
結局のところ、「どちらのエンジンが優れているか」という問いに唯一の正解はありません。
答えは、あなたのカーライフの中にあります。
- 年間走行距離が長く、高速道路の利用が多いなら、ディーゼルモデルが賢明な選択となるでしょう。燃料費の差額は、数年で車両価格の差を埋めてくれます。
- 走行距離は短く、主に街乗りで、ランクルならではの静かでパワフルな走りを堪能したいなら、ガソリンモデルも十分に満足できる選択肢です。ただし、市街地での厳しい燃費は覚悟しておく必要があります。
この記事が、あなたの不安を解消し、自信を持って最高のパートナーを選ぶための一助となれば幸いです。あなたの冒険に、最高のランドクルーザーが見つかることを願っています。
引用文献
- トヨタ ランドクルーザー“300” | 価格・グレード | トヨタ自動車WEBサイト
https://toyota.jp/landcruiser300/grade/ - ランドクルーザーの燃費情報を徹底まとめ!カタログ燃費・実燃費も紹介 – モビリコ
https://mobilico.jp/magazine/lc-nenpi/ - ランクル300の実燃費は何km/L?街乗りや高速でディーゼルvs …
https://jimm.hateblo.jp/entry/20250814/1755117062 - ランクル実燃費徹底比較!70・250・300、ディーゼル/ガソリンで …
https://jimm.hateblo.jp/entry/20250325/1742908310 - ランドクルーザー300の燃費 (給油情報 1,572件) – みんカラ
https://minkara.carview.co.jp/car/toyota/landcruiser_300/nenpi/ - トヨタ ランドクルーザー300 3.5 ZX 4WDの基本スペック|中古車なら【カーセンサーnet】
https://www.carsensor.net/catalog/toyota/land_cruiser_300/F001/M001G003/ - ランドクルーザー(トヨタ)の歴代モデル・グレード別カタログ情報 – グーネット
https://www.goo-net.com/catalog/TOYOTA/LAND_CRUISER/ - ランクル300の実燃費 | 静岡県富士宮市の中古車販売 クルマオタクyoshi1wのブログ
https://ameblo.jp/yoshi1w/entry-12714249897.html - 【25′ 10/27最新】レギュラーガソリン、下落傾向が続く 平均価格は173.5円に – グーネット
https://www.goo-net.com/magazine/money/car-money/268627/ - ガソリン価格(ハイオク・レギュラー・軽油・灯油)の推移 – 新電力ネット
https://pps-net.org/oilstand - ランドクルーザー300系のタイヤサイズは?適切な交換タイミングやおすすめタイヤを徹底紹介!
https://column.fujicorporation.com/article/3511 - 『ランクル70の航続距離について』 トヨタ ランドクルーザー300 のみんなの質問 – carview!
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/toyota/landcruiser_300/chiebukuro/detail/?qid=10245607510 - ドライブモードセレクトスイッチ(ノーマル・スポーツ・エコなど)は、どういう時に切り替えて使用すればよいですか? – TOYOTA
https://toyota.jp/faq/show/4880.html - エコジャッジ・S-FLOWを活用して燃費向上を!自動車のプロが研究する燃費運転
https://www.weins-toyota-kanagawa.co.jp/service/service_column/ecodrive_ecocarcup_20230819 - アイドリングストップとは?エンジンの寿命や燃費、メリット・デメリットについて解説
https://www.mitsui-direct.co.jp/car/guide/mycar_guide/new/idle-reduction/ - ランドクルーザー300 4WDの性能は?燃費や雪道走行を徹底評価!
https://www.junku.com/4wd/landcruiser-4wd.html

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