ランドクルーザー200系のディーゼルモデル(VDJ200)は、日本国内では正規販売されていませんが、並行輸入(逆輸入)によりナンバー取得が可能です。しかし、購入費用は高騰しており、特殊な整備環境が必要となるため、維持難易度は極めて高いのが現実です。
「ガソリン車の燃費(リッター5km)に絶望した」
「YouTubeで見た、黒煙を吐いて激走するV8ディーゼルへの憧れが捨てきれない」
そんなマニアックな動機でこのページに辿り着いたあなたへ。
もし安易に「軽油だから維持費が浮く」と考えているなら、今すぐその考えを捨ててください。
準備なしに逆輸入車に手を出すと、以下のリスクに直面します。
- ディーラーでの入庫拒否(門前払い)
- 部品待ちによる数ヶ月の長期不動
- 数百万円単位の金銭的損失
この記事では、歴代ランクルを乗り継ぎ、整備の現場で多くの「逆輸入車の末路」を見てきた編集長の大地が、夢のエンジン「1VD-FTV」の実力と、それを日本で所有するために必要な「3つの覚悟」を、包み隠さず解説します。
覚悟のない方は、ここでページを閉じてください。本気で乗りたい方だけ、先へお進みください。
そもそも日本で乗れるのか?夢の「1VD-FTV」ディーゼルと国内登録の壁

結論:日本で乗ることは「可能」です。ただし、それは選ばれし者の特権とお考えください。
実際に、こだわり抜いたオーナーたちが逆輸入した車両が、日本のナンバーを付けて公道を走っています。しかし、それは「ディーラーに行ってカタログを見て注文する」のとは次元が違います。
エンジンの正体:1VD-FTV
このモデルの心臓部である「1VD-FTV」は、トヨタが誇るディーゼル技術の結晶です。
- 形式: V型8気筒 4,461cc ツインターボ
- 最高出力: 約272ps(仕向け地により異なる)
- 最大トルク: 650Nmオーバー
このスペックが意味すること。
それは、エンジンを掛けた瞬間の「ドゥルン!」という腹に響く重低音と、2.5トンを超える巨体が、アクセルを少し踏み込むだけで「背中をシートに押し付けられながら」加速していく感覚です。
ガソリン車のような軽やかさではなく、「地面をねじ伏せるような暴力的なトルク」。
この麻薬的な快感こそが、世界中のランクルマニアを虜にしてやまない理由です。
なぜ日本で売らなかったのか?
理由は大きく2つあります。
- 日本の排ガス規制:
世界一厳しいとも言われる「ポスト新長期規制」への対応コストが莫大だったため。 - 市場ニーズ:
当時の日本では「高級SUV=静粛性の高い大排気量ガソリン」という需要が強かったため。
※200系の基本グレード(前期・中期・後期)の違いについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

ガソリン(URJ202)vs ディーゼル(VDJ200):スペックと維持費の冷徹な比較

結論:燃費効率はディーゼルが圧勝ですが、トータルの支払額ではガソリン車の方が圧倒的に安く済みます。
私たちが普段目にする国内仕様のガソリン車と、憧れのディーゼル車。現場目線で比較してみましょう。
スペック比較表
| 項目 | 国内ガソリン仕様 (URJ202W) | 逆輸入ディーゼル仕様 (VDJ200) |
|---|---|---|
| エンジン | V8 4.6L ガソリン (1UR-FE) | V8 4.5L ディーゼル (1VD-FTV) |
| 吸気 | 自然吸気 (NA) | ツインターボ |
| 最大トルク | 46.9kgf・m / 3,400rpm | 66.3kgf・m / 1,600rpm〜 |
| 燃料 | ハイオク推奨 | 軽油 |
| 実燃費 | 4 〜 6 km/L | 7 〜 10 km/L |
トルク特性の違い:回す快感 vs 蹴り出す暴力
ガソリン車は、踏めば「クォーン」と快音を響かせて伸びやかに加速します。振動も皆無で、高級車の鑑のような走りです。
対してディーゼル車は、「低回転の鬼」です。
わずか1,600回転から最大トルクが発生します。信号待ちからの発進や、オフロードでの悪路走破性において、アクセルに足を乗せるだけで車体が前に押し出されます。ステアリングを通して伝わるV8ディーゼル特有の「鼓動」は、生き物を操っているかのような錯覚を覚えます。
【専門家のワンポイントアドバイス】
「ディーゼルなら燃料代が半分になる!」と思って飛びつくと火傷します。
確かに燃料代は年間10万円ほど安くなるでしょう。しかし、車両本体価格を見てください。
- 国内ガソリン中古車:400万〜700万円
- 逆輸入ディーゼル車:1,000万円〜1,500万円
その差額、約500万円以上。これを燃料代で回収するには、地球を何周走ればいいのでしょうか?
ディーゼル200系は「節約のための車」ではありません。「圧倒的なトルクと希少性を買うための贅沢品」なのです。
※「ガソリン車でも維持費が怖い」という方は、以下の記事でリアルな年間維持費をシミュレーションしています。

【購入前に読め】逆輸入ディーゼルの「不都合な真実」と3つのリスク

結論:以下の3つのリスクを許容できない場合、購入後に後悔することになります。
憧れを打ち砕くかもしれませんが、あえて厳しい現実(ネガティブ情報)をお伝えします。これは私、大地の偽らざる本音です。
1. メンテナンスの孤独:ディーラー入庫の壁
これが最大のハードルです。トヨタの看板を掲げているディーラーであっても、「並行輸入車はお断り」という店舗は少なくありません。
診断機が通じない:
トヨタ純正診断機(テックストリーム)を繋いでも、VINコード(車台番号)が日本データベースにないため、弾かれます。
車検の壁:
排ガス試験の成績書(ガス枠)などの原本がないと、陸運局で門前払いされます。排ガス規制(NOx・PM法)への適合証明は必須です。
近所の整備工場でも「部品が取れないから」「配線図がないから」と断られ、「オイル交換ひとつ頼める店がない」という整備難民になるリスクがあります。
2. 部品供給の遅れ:家族旅行前日に故障したら?
消耗品(オイルフィルター、フューエルフィルター等)ですら、国内品番と異なる場合があります。国内在庫がない場合、ドバイやオーストラリアからの取り寄せとなり、部品到着まで3週間〜1ヶ月かかります。
【実録】編集長が見た「逆輸入車の末路」
私の知人は、家族旅行の前日にエンジントラブルに見舞われました。原因は単純なセンサー故障でしたが、国内に在庫がなく、修理完了まで1ヶ月半。
楽しみにしていた北海道旅行はキャンセルとなり、奥様からは「なんでこんな面倒な車を買ったの?」と詰められ、家庭内の空気が凍りついたそうです。
「家族の理解」と「動かせるセカンドカー(軽で十分)」がない限り、この車をメインで使うのはギャンブルです。
3. 排ガス浄化装置(DPF/AdBlue)のリスク
現代のディーゼルは、環境規制(ユーロ規制等)に対応するため、非常に複雑な排ガス浄化システムを搭載しています。
DPF(微粒子除去装置):
低速走行ばかりだとススが詰まります。交換には30〜50万円かかります。
インジェクター:
精密部品のため、粗悪な軽油や水分混入で故障します。診断機で補正値が±3.0を超えていたら危険信号。8本交換で約40万円コースです。
AdBlue(尿素水):
定期的な補充が必要です。自宅ガレージにAdBlueの在庫を置く場所はありますか?
【診断】あなたは1VD-FTVに乗る資格があるか?
以下の項目のうち、1つでも「NO」があるなら、私はガソリン車(URJ202)を強くおすすめします。
- 車両価格1000万円オーバーを「趣味代」として割り切れる
- 部品待ちで1ヶ月車がなくても生活できる(セカンドカーがある)
- トラブルを楽しめる心の余裕と、奥様の理解がある
- 信頼できる「逆輸入車専門店」とのコネクションがある
それでも乗りたいあなたへ。失敗しない購入ルートとショップ選び

結論:個人輸入は避け、国内ですでに登録済みの車両を「専門店」から購入してください。
ここまで読んでも心が折れなかった本物のランクル乗りのために、現実的な「買い方」を紹介します。どこで買うかで、その後の運命の9割が決まります。
購入ルート比較:あなたはどのリスクを取りますか?
| 購入ルート | 在庫数 | リスク | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 個人輸入 | 無限 | 特大 | 英語堪能・手続きマニア・予算青天井の方 |
| 一般中古車店 | 少 | 大 | 自分で整備工場を探せる玄人・整備士 |
| ランクル専門店 | 極少 | 中 | 安心をお金で買いたい一般ユーザー |
1. 自分で探す:カーセンサーで市場価格をチェック
まずは、現在日本にどれくらいの「逆輸入車」が存在し、いくらで取引されているかを確認してください。運が良ければ、専門店が掲載している良質な在庫が見つかるかもしれません。
[在庫検索] カーセンサーで「ランクル200 逆輸入」の在庫を見る
※フリーワードに「逆輸入」や「ディーゼル」と入力して検索してください。完全無料です。
2. プロに探させる:ガリバーで「非公開在庫」を狙う
逆輸入車のような希少車は、ネットに出る前にマニアの間で売買されたり、店頭に並ぶ前に売れてしまうことが多々あります。
本気で探しているなら、一般公開される前の「非公開在庫」にアクセスする必要があります。
[プロに依頼] ガリバーで「未公開車両」を問い合わせる
※備考欄に「ランクル200のディーゼル(逆輸入)を探しています」と記入すれば、プロが全国から探してくれます。
【諦める勇気】ガソリン車で「迫力」を手に入れる選択肢

もし上記の診断で「自分には無理だ」と感じたなら、それは英断です。
しかし、ランクルに乗る夢まで捨てる必要はありません。国内仕様のガソリン車(URJ202)でも、カスタム次第でディーゼルに負けない「迫力」と「個性」は手に入ります。
浮いた予算(車両価格差の500万円!)を、カスタムに使ってみてはいかがでしょうか?
▼ 200系カスタムのロードマップ
まずはリフトアップで視界を変える

V8サウンドを開放するマフラー選び

足元の迫力を出すタイヤ&ホイール

カスタムの基礎知識まとめ

よくある質問(FAQ)

最後に、ランクル200系のディーゼルモデルについてよくある質問にお答えします。
【最後に】選ばれし者だけが見る景色へ

ランクル200系のディーゼルモデルは、単なる移動手段ではありません。
それは「ランドクルーザーが持つ本来の野性味」を、電子制御の塊である200系で味わうための、究極の趣味グルマです。
メリット
- 圧倒的なトルク(650Nm〜)
- 優れた実燃費と航続距離
- 誰とも被らない希少性
デメリット
- 車両価格が高い(1,000万円超)
- メンテナンス難易度が高い
- 部品待ちのリスク
この天秤にかけたとき、デメリットすらも「愛着」や「攻略する楽しみ」に変えられる人だけが、1VD-FTVのオーナーになる資格を持っています。
「何となく良さそう」というレベルなら、絶対に手を出さないでください。大火傷します。
しかし、もしあなたが全ての覚悟を決めたなら、その先に待っているのは、他のどのSUVでも味わえない優越感と走りの世界です。
まずは、信頼できるショップ探しと、運命の一台を見つけることから始めてみてください。それが、一生モノの相棒との出会いになることを願っています。
※この記事が「役に立った」「耳が痛い」と感じたら、ぜひコメントしてください。大地の励みになります。
この記事を書いた人
大地(Daichi)
『大地のコンパス』編集長 / ランクル・ライフアドバイザー
歴代ランドクルーザー(80/100/200)を乗り継ぎ、地球12周分(総走行距離50万km超)を走破した現場主義の編集長。「ランクルはカタログスペックより、整備記録簿がすべて」が信条。


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