ランクルの「威厳」と「日常」。試乗で探るV6ディーゼルの実力
「新型ディーゼルの加速は本物か?」「この巨体で、日本の街乗りは本当に快適なのか?」——ランクル300系への期待と不安
ランドクルーザー300系、特にディーゼルモデル。その存在感は圧倒的です。しかし、購入を具体的に検討するほど、現実的な疑問が次々と湧き上がってくるのではないでしょうか。
「V8エンジンからV6ツインターボへのダウンサイジングは、ランドクルーザーの『力強さ』を奪っていないか? 加速は本当に十分なのか?」
「全長約5m、全幅約2mという巨体 1 を、日本の狭い街乗りで本当にストレスなく扱いきれるのか?」
「一部のレビューで目にする『乗り心地がフワフワして船のようだ』という評価は本当なのか?」
これらは、トヨタのフラッグシップSUVを「日常の相棒」として迎え入れたいと考える読者にとって、避けては通れない核心的な疑問です。
「この記事を読めば、あなたがランクル300系のディーゼルモデルを試乗すべきか、その答えが明確になります。」街乗りから高速巡航まで、加速感と乗り心地の「真実」を徹底的にお伝えします。
この記事は、上記のような読者の期待と不安を解消するために存在します。
本記事を最後までお読みいただくことで、新型3.3Lディーゼルモデルの「加速感」の正体、そして最大の懸念事項である「街乗りでの乗り心地」について、専門家の視点から「結局どうなのか」という核心的な答えが明確になります。
V8(200系)オーナーの筆者が、新型300系ディーゼル(ZX)を忖度なしで試乗。200系から進化した「圧倒的な部分」と、新たに見えた「弱点」を、経験に基づき詳細にレポートします。
なぜこの記事があなたの疑問に答えられるのか。それは、筆者が単なる評論家ではなく、先代ランドクルーザー200系(V8ガソリンモデル)の現役オーナーだからです。
200系の長所も短所も知り尽くした「経験」に基づき、新型300系ディーゼルを試乗し、先代から「圧倒的に進化した部分」と、新型だからこそ「新たに見えた弱点」を、一切の忖度なしで公平に評価します。
「この記事は、机上の空論ではない、リアルな一次情報だ」——そう感じていただけるはずです。
ランクル300系 ディーゼル 試乗インプレッション

試乗モデル概要:ランドクルーザー300 ZX 3.3Lディーゼル(FJA300W)
試乗車の主要スペックとGA-Fプラットフォームの恩恵
今回試乗したのは、ランドクルーザー300系のフラッグシップラインに位置する「ZX」グレード、その3.3L V6ツインターボディーゼルエンジン(F33A-FTV)搭載モデルです。
このモデルを評価する上で、まず理解すべきは2つの技術的な大前提です。
パワートレイン:
3.3L V6ツインターボディーゼル(F33A-FTV)は、最高出力309ps、最大トルク700Nmという、先代V8を遥かに凌駕するスペックを誇ります。
プラットフォーム:
新開発の「GA-Fプラットフォーム」の採用により、伝統のラダーフレーム構造を維持しながら、先代200系比で約200kgという劇的な軽量化と飛躍的な高剛性化を両立しています。
この2点が、これから語るすべての「加速感」と「乗り心地」の技術的な基盤となります。
V8からのダウンサイジング:なぜ今、3.3L V6ツインターボディーゼルなのか?
多くのファンが「なぜV8を捨てたのか?」という疑問を抱きました。しかし、試乗して分かったのは、これは「ダウンサイジング(縮小)」ではなく、明確な「技術的進化」であるという事実です。
特に700Nmという最大トルクは、先代200系のV8ガソリン(4.6L 1UR-FE)が発生する460Nmとは比較にならない数値です。この強大なトルクこそが、新型ディーゼルの加速フィールの源泉となっています。
ディーゼル(F33A-FTV)の「加速感」を徹底評価
街乗り(一般道)での加速:700Nmがもたらす「ゼロ発進の余裕」
ディーゼルの加速感を試乗して、まず驚かされるのが街乗りでの発進時です。
700Nmという強大なトルクの真価は、0-100km/hのタイムを競うためのものではありません。その本当の価値は、ストップ&ゴーが繰り返される日本の街乗りでこそ発揮されます。
約2.6トン(ZX 7人乗り)の巨体を動かすには、本来大きなエネルギーが必要です。しかし、300系ディーゼルは、アクセルペダルに軽く足を乗せるだけで、回転数をほとんど上げることなく、静かに、そして力強く発進します。
オーナーレビューにある「初速、加速が200系より良くなった」という評価は、まさにこの低速トルクの豊かさに起因します。
街乗りでの加速感は、「速い」というよりも「圧倒的に余裕がある」あるいは「車体の重さを一切感じさせない」という表現が最も適切です。この「余裕」こそが、運転時の精神的な疲労を劇的に軽減し、結果として快適な乗り心地に直結しています。
高速道路での加速:Direct Shift-10ATが引き出す「追い越し加速」
次に、高速道路での合流や追い越し加速のシーンです。
V6ツインターボと、新開発のDirect Shift-10AT(10速オートマチック)の組み合わせは、まさに知能的です。
100km/hでの巡航時からアクセルを踏み込むと、10速もあるとは思えないほどシームレスに変速し、即座に力強い加速体勢に入ります。筆者の200系V8(6速AT)が「ウォーン」というエンジン音とともにワンテンポ遅れて加速する感覚とは異なり、300系ディーゼルはエンジンが唸る前に、静かなまま車体を前へ押し出します。
オーナーから「元気に走る」と評されるように、高速巡航時の追い越し加速においても、一切のストレスを感じさせません。
ガソリン車との加速感の違いは?
今回はディーゼル特有の豊かなトルク感をレポートしましたが、「ガソリン車のV6ターボ(V35A-FTS)のキレのある加速感と、どちらが自分に合っているか」を悩む方も多いでしょう。両エンジンの詳細なパワー特性やフィーリングの違いについては、以下の記事で徹底的に比較しています。

「街乗り」での「乗り心地」と運転のしやすさ
ネガティブレビューの検証:「フワフワして船のよう」「段差で突き上げを感じる」は本当か?
さて、本題である「乗り心地」です。インターネット上のレビューでは、「フワフワして船のようだ」という評価と、逆に「段差で突き上げを感じる」という相反する意見が見られます。
結論から言えば、筆者の試乗体験に基づくと「この評価は半分本当で、半分は誤解」です。
「フワフワして船のよう」という感覚:
これは確かに存在します。ラダーフレーム構造特有のゆったりとした揺れと、今回試乗したZXグレードの「快適性」を最優先したサスペンションセッティングに起因するものです。
「段差で突き上げを感じる」という感覚:
これは、ZXが標準装備する20インチの大径ホイール 2 が一因である可能性が高いです。タイヤの厚み(扁平率)が薄くなるため、路面の鋭い段差の衝撃を拾いやすい側面があります。
ポジティブレビューの検証:「しっとり滑らか」「静粛性が高い」という評価
しかし、筆者が試乗して最も衝撃を受けたのは、上記のネガティブな瞬間を遥かに凌駕する、「圧倒的な滑らかさ」と「異次元の静粛性」でした。
「タイヤのゴロゴロ感さえ伝わってこない」ほどの徹底した遮音性と、GA-Fプラットフォームがもたらす高い剛性感、そして新開発のステアリングシステムが、路面からの不快な振動を文字通り「ゼロ」にする感覚。
これは、筆者の200系V8ガソリン車と比較しても、比較にならないほどの「高級車」の領域です。このディーゼルエンジンは、200系のガソリンエンジンよりも静かです。
運転のしやすさ:巨大なボンネットと車幅感覚
街乗りにおける最大の障壁は、その物理的なサイズです。しかし、トヨタはこの「弱点」を克服するために、驚くべき技術を投入しています。
運転席に座ると、まず視界が非常に広く、ボンネットの両端が掴みやすい形状になっていることに気づきます。
そして、決定的なのが「マルチテレインモニター」です。2025年モデルからは「床下透過表示機能」が追加され、まるでボディが透けたかのように、死角となる車両直下の路面やタイヤの位置をディスプレイ上で正確に把握できます。
「この巨体で狭い道は無理だ」という不安は、試乗開始5分で消え去りました。オーナーレビューが「大きさの割に小回りがきく」、「不安なく運転できる」と評価する通り、最新のテクノロジーが物理的なデメリットを凌駕し、驚くほど「運転しやすい」という体験を生み出しています。
【乗り心地の結論】ZXとGR SPORTは「全く別のクルマ」である
試乗を終えて筆者が至った最大の結論は、これです。
読者がレビューを見て混乱する「船のようだ(ZX)」という評価と、「フラットで安定している(GR SPORT)」という評価は、どちらも正しいのです。なぜなら、その2台は「サスペンションの思想が根本的に異なる」からです。
「ランクル300の乗り心地」と一括りにすることはできません。
試乗車「ZX」の乗り心地:AVSが実現する「高級サルーン」の快適性
筆者が試乗した「ZX」グレードは、「AVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)」を標準装備しています。
これは、路面状況や走行モード(NORMAL, COMFORT, SPORT S+など)に応じて、ショックアブソーバーの減衰力(硬さ)を瞬時に電子制御するシステムです。
ZXのAVSは、明確に「高級サルーンのような快適な乗り心地」を目指してセッティングされています。特にCOMFORTモードでは、意図的に「フワフワ」と感じるほどのしなやかさを演出し、路面からの衝撃を吸収します。これが「船のようだ」と評される理由であり、それは欠点ではなく「ZXの味付け」なのです。
GR SPORTの乗り心地:E-KDSSがもたらす「フラットで機能的」な走行性能
一方、もう一つの頂点である「GR SPORT」は、全く別のサスペンションを搭載しています。それが世界初の「E-KDSS(エレクトロニック・キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)」です。
これはAVSとは全く異なり、オンロード(街乗り)では前後のスタビライザーを強力に制御し、カーブでの車体の傾き(ロール)を徹底的に抑え込みます。そして、オフロードでは逆にスタビライザーを解除し、タイヤの接地性を最大化するシステムです。
結果として、GR SPORTは「フワフワ」せず、非常に「フラット」で安定した乗り心地を提供します。
表:ZX vs GR SPORT サスペンションと乗り心地の特徴比較
この複雑な違いを理解するために、以下の表にまとめました。あなたが求める「乗り心地」がどちらにあるか、明確になるはずです。
| 比較項目 | ZX(今回の試乗車) | GR SPORT |
|---|---|---|
| コンセプト | 高級サルーンのような快適性 | 悪路走破と機能性の両立 |
| 専用サスペンション | AVS (アダプティブ・バリアブル) | E-KDSS (電子制御スタビライザー) |
| 機能 | 減衰力を電子制御し、乗り味を変える | スタビライザーの効きを電子制御する |
| 標準ホイール | 20インチ | 18インチ |
| 街乗りでの体感 | しなやかで「フワフワ」とも評されるサルーン感覚。鋭い段差は拾う傾向。 | タイヤが厚くマイルド。ロールが少なく「フラット」な感覚。 |
| おすすめの読者 | 街乗り・高速巡航の「快適性」「しなやかさ」を最優先するユーザー | オフロード性能とオンロードの「安定性(ロールの少なさ)」を両立したいユーザー |
街乗りメインならどちらを選ぶべきか?
このように、ZXとGR SPORTでは乗り心地の「思想」が根本から異なります。
「ランクル300系のグレード選びで本格的に迷っている」「レビューを読んでも結局どっちが自分に合っているか分からない」という方は、以下の記事で価格や専用装備、リセールバリューまで含めた徹底比較を行っています。

先代200系オーナーから見た「乗り心地」と「加速」の進化点
筆者の200系オーナーとしての「経験」から、300系ディーゼルが200系V8ガソリンから進化した決定的な違いをレビューします。
「ラダーフレームの常識」を覆したGA-Fプラットフォームの剛性感
200系で感じていた、ラダーフレーム特有の「フレームとボディが別々に動くような微細な振動」や「揺れの収まりの悪さ」。それが300系では完全に消え去っています。
「まるで上質なモノコックSUVのようだ」——そう錯覚するほどの高剛性なボディと、しなやかな足回りが、乗り心地のレベルを根本から引き上げています。
圧倒的な静粛性:エンジン音とロードノイズの遮断
最も驚愕したのは「静粛性」です。
今回試乗したのはディーゼルモデルです。それにも関わらず、筆者の200系V8ガソリン車よりも明らかに静かでした。特に、高速道路でのロードノイズ(タイヤが路面を転がる音)の遮断は見事というほかなく、この静粛性が乗り心地の「上質さ」に直結しています。
200系からの乗り換えは「アリ」か?
結論として、300系は200系から「正常進化」ではなく「次元の違う進化」を遂げています。
200系オーナーで乗り換えを真剣に検討されている方は、両車の維持費や性能差、そして「乗り換える価値が本当にあるのか」を詳細に比較したこちらの記事をご覧ください。

試乗データから考察する関連情報(内部リンク誘導)
「試乗」という行為は、「購入」を具体的に検討するステップです。そうなると、「加速」や「乗り心地」だけでなく、その結果として「燃費」や「維持費」がどうなるか、という現実的な問題が必ずついて回ります。
試乗で計測した「実燃費」と「維持費」は?
今回の試乗は街乗りが中心でしたが、計測したおおよその実燃費は約7.5km/Lでした。オーナー報告でも「街乗りで5〜8km」という声があり、おおむね妥当な数値と言えます。
しかし、これは短距離の試乗データに過ぎません。オーナーが長期間計測したリアルな実燃費データや、税金・保険料・アドブルー費用まで含めた年間の総維持費については、以下の専門記事で詳細に解説しています。


ランクル300系 試乗(ディーゼル・乗り心地)に関するQ&A

試乗前に読者が抱きがちな、さらに細かい疑問についてQ&A形式でお答えします。
まとめ:ランクル300系ディーゼル試乗で賢い選択を

試乗で実証された「圧倒的な加速」と「進化した乗り心地」
今回の試乗レポートを総括します。ランドクルーザー300系ディーゼルは、先代200系のV8を遥かに凌駕する「余裕のある加速」と、GA-Fプラットフォームによって実現した「異次元の静粛性と滑らかさ」を持つ、まさに「キング・オブ・SUV」の名にふさわしい車でした。
あなたの悩みは解決しましたか?「街乗りメイン」でもランクル300は「買い」か
読者の皆様が抱いていた「街乗り」への不安は、最新技術(マルチテレインモニターなど)によって「驚くほど運転しやすい」ことが実証されました。
しかし、最も重要な「乗り心地」については、「ZXのサルーンのような快適性」と「GR SPORTのフラットな安定性」という、2つの明確な答えが存在します。また、荷室フロアの段差や3列目シートの使い勝手など、実用面での弱点も確認できました。
「300系は、試乗しなければ絶対に分からない。」——最高のランドクルーザーライフへの第一歩
この記事で得た知識を基に、「あなたご自身が、ZXとGR SPORTの『乗り心地の違い』を試乗で体感すること」。それこそが、あなたにとって最高の選択をするための、唯一の道です。
ランドクルーザー300系の全てを網羅した完全ガイドも用意しています。ぜひ、あなたの「賢い選択」のためのコンパスとしてご活用ください。

引用文献
- ランクルを買って後悔する人が続出?ランクルの意外なデメリットの理由とその対策
https://jimm.hateblo.jp/entry/20250425/1745532932 - 【本当はどうなの?】陸の王者「ランドクルーザー300」購入者の …
https://carview.yahoo.co.jp/article/detail/fb947de2b31bc1fe27af9a5656adaf3df98068fc/?page=3 - トヨタ ランドクルーザー300|クルマレビュー – みんカラ (8ページ目)
https://minkara.carview.co.jp/car/toyota/landcruiser_300/review/?pn=8 - 間もなく日本デビュー! 新型トヨタ・ランドクルーザー(300系)完全新開発3.3ℓV6ディーゼルツインターボ【F33A-FTV】とはどんなエンジンになるか | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム
https://motor-fan.jp/article/781230/ - ランクル300はGRスポーツが圧倒的におすすめ!その理由や装備 …
https://jimm.hateblo.jp/entry/20250826/1756157220 - トヨタ ランドクルーザー 300 【試乗レポート 後編】圧倒的な静かさに驚き!! 乗り比べで見えたランクル300最良の仕様とは!? E-CarLife with 五味やすたか – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=N6SgCNn0TZk - 【ランドクルーザー(300)ZXディーゼル】レビュー&街乗り試乗!でかいけど街乗りどうなの?
https://www.youtube.com/watch?v=ypieul2boVw - トヨタ ランドクルーザー“300” | 走行性能
https://toyota.jp/landcruiser300/performance/ - 『こんなもんです。』 トヨタ ランドクルーザー のクチコミ掲示板 – 価格.com
https://bbs.kakaku.com/bbs/70100110641/SortID=24791616/ - トヨタ お問い合わせ・よくあるご質問 | 【ランドクルーザー“300 …
https://toyota.jp/faq/show/6403.html - 【ランクル300試乗レビュー】ガソリンとディーゼルを比較 …
https://www.youtube.com/watch?v=PmCa9qEW9ns


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