▼ この記事の要約
- 残酷な現実:ランクル250はグレードを選んだ時点で「定員」が強制的に決まります。
- 3列目の罠:大人が座れば「体育座りの刑」。突き上げで首を痛めるリスクもあります。
- 荷室の罪:7人乗りは床が高く、傾斜あり。車中泊と積載で一生後悔することになります。
たまに実家の両親を乗せるかもしれないし、奥さんを説得するためにも7人乗りにしておけば安心かな?
もしあなたが今、営業マンの「リセールが良いですから」という甘い言葉や、家族への「いざという時のため」という建前に逃げ、思考停止で7人乗り(VX/ZX)の契約書に判子を押そうとしているなら、今すぐその手を止めてください。
その「優しさ」と少しの「欲」が、納車後のカーライフを毎日じわじわと苦しめることになります。
結論から言います。
ランクル250の7人乗りは、ミニバンのような「魔法の空間」ではありません。そこにあるのは、グレード構成によって強制される「不自由な選択」と、多くのオーナーが口を閉ざす「荷室の残酷な段差」です。
歴代ランクルを50万km乗り継いできた私から見ても、新型250のパッケージングには明確な「落とし穴」があります。
この記事では、カタログの綺麗な写真には決して写らない「3列目の居住性のリアル」と、5人乗り(GX)と比較した時の「決定的な使い勝手の差」について、忖度なしの現場目線で解説します。
読み終えた頃には、あなたの迷いは消え、自分に必要な「相棒」がどちらか、残酷なほど明確になっているはずです。
【結論】迷う余地なし。グレードを選んだ時点で「定員」は決まる

まず、最も重要な事実を突きつけます。
ランクル250の定員選びとは、実質的に「グレード選び」そのものなのです。
プラド時代のように「好きなグレードで、定員を選べる」と思ってはいけません。新型ランクル250(国内仕様)は、グレードを選んだ瞬間に定員が強制決定される仕様です。
「このグレードで5人乗りが欲しい」というわがままは、トヨタには通用しません。
| グレード | エンジン | 定員 | 強制される運命 |
|---|---|---|---|
| ZX | 2.8L ディーゼル | 7人 | 5人乗り設定なし。強制的に3列目が付いてきます。 |
| VX | 2.8L ディーゼル | 7人 | 同上。不要でも7人乗りになります。 |
| VX | 2.7L ガソリン | 7人 | 同上。 |
| GX | 2.8L ディーゼル | 5人 | 7人乗り設定なし。豪華装備も選べません。 |
これが「不都合な真実」の正体です。
つまり、「5人乗り vs 7人乗り」という悩みは、実質的に「質素な業務仕様(GX) vs 豪華な高級仕様(VX/ZX)」というグレード選びそのものになるのです。
- 豪華装備(ZX)で、荷物が積める5人乗りが欲しい
- 叶いません。使わない3列目シートという「重り」を一生背負って走る必要があります。
- 安く7人乗りが欲しい
- 叶いません。7人乗りが欲しければ、高くてもVX以上を買うしかないのです。
まずはこのメーカーの都合を飲み込んでください。その上で、具体的な「痛み」の比較に進みましょう。
3列目シートの居住性と荷室の現実【閲覧注意】

「とりあえず7人乗りを買っておけば、大は小を兼ねる」
その考えは、ランクル250においては捨てた方がいいでしょう。
実際に身長175cmの私が3列目に乗り込み、長時間テストした結果、感じたのは「快適」ではなく「忍耐」でした。
1. 3列目は「体育座りの刑」
カタログ写真では大人が笑顔で座っていますが、現実は甘くありません。
- 膝位置の違和感:
フレーム構造(ラダーフレーム)ゆえに床位置が高く、座面が低いのが原因です。結果、膝が胸に近い位置まで持ち上がり、太ももの裏が完全にシートから浮きます。まさに「体育座り」状態です。 - 突き上げの恐怖:
これが最も伝えたい点です。3列目はリアタイヤの真上に位置します。段差やマンホールを越えた瞬間、ダイレクトな突き上げが腰と首を襲います。30分も乗れば、大人は酔い、子供は泣き出すでしょう。 - 足元の拘束:
2列目シートの下に足先を入れるスペースが絶望的に狭いです。靴のサイズが27cm以上の私は、足を斜めに捻じ込まないと入りませんでした。
結論、「身長160cm以下の子供、または駅までの送迎(15分以内)」が限界です。
これをミニバン(アルファード等)の3列目と同じ感覚で家族に乗せれば、「狭い」「降ろせ」とクレームの嵐が来ることは保証します。何より、追突された際の安全性(クラッシャブルゾーンの少なさ)を考えると、大切な家族を長時間座らせたい場所ではありません。
2. 7人乗り最大の罪「荷室の段差」
私が最も懸念するのは、人を乗せる時よりも「荷物を積む時」です。7人乗り(VX/ZX)には致命的な弱点があります。
- 7人乗り(3列目格納時):
床下にシートを収納するため、荷室の床面自体が高くなります。さらに悪いことに、格納したシート部分が完全な水平にはならず、奥に向かって微妙に傾斜(スロープ状)しています。
これが何を意味するか。積んだクーラーボックスが滑り落ち、車中泊で寝れば「頭に血が上る」か「足がむくむ」かの二択を迫られることになります。 - 5人乗り(GX):
3列目がない分、床が低く、広大でフラットな空間が広がります。荷物を放り込むだけの「道具」として使うなら、圧倒的にこちらが上です。
| 項目 | 7人乗り (VX/ZX) | 5人乗り (GX) |
|---|---|---|
| 3列目 | 電動格納(ZX)/手動(VX) | なし |
| 荷室床面 | 高い(開口部とほぼフラット) | 低い(段差あり) |
| 最大積載 | 傾斜により不安定 | 安定・大容量 |
| 車中泊 | △(天井圧迫・傾斜あり) | ◯(高さ確保・快適) |
大地編集長のワンポイントアドバイス

ぶっちゃけて言おう。
「年に1回乗るか乗らないかの爺ちゃん婆ちゃん」のために、残り364日の荷室の使い勝手を犠牲にするのはナンセンスだ。
多くのパパが「妻への説得材料」として7人乗りを選びたがる気持ちは痛いほど分かる。「いざという時、みんな乗れるから」と言えば、購入の許可が下りやすいからだ。
だが、納車後のキャンプで想像してほしい。
「なんで荷物が全然乗らないの?」「このクーラーボックス、なんで滑ってくるの?」と妻に詰められた時、あなたは3列目シートのせいにできるだろうか?
本来なら「VXの5人乗り」がベストバイなのだが、トヨタはそれを許してくれない。
もしあなたが独身や夫婦のみで、どうしても上位装備(VX以上)が欲しいなら、「7人乗りを買って、3列目は一生畳んでおく(封印する)」という割り切りが必要だ。
私はそうしている。その「無駄」を受け入れ、笑って流せる度量こそが、ランクル乗りには求められるのかもしれないな。
それでも7人乗り(VX/ZX)を選ぶべき人

ここまで酷評しましたが、それでも市場で売れているのは圧倒的に「7人乗り(VX/ZX)」です。なぜでしょうか? 理由は以下の3点に集約されます。
- リセールバリューという名の麻薬
海外輸出において「7人乗り・革シート・サンルーフ」は三種の神器です。GX(5人乗り)に比べて、売却時の査定額が驚くほど跳ね上がります。実質的な維持費(購入額−売却額)で見れば、高いVXを買った方が安くつくケースすらあるのです。これが営業マンがVXを勧める最大の理由です。 - 装備の格差社会
GXは「商用車」に近いほど質素です。対してVX/ZXは、ベンチレーション、デジタルインナーミラー、悪路走破システムなど、高級SUVとしての装備がフル搭載されています。 - 「いざという時」の精神安定剤
子供の部活の送迎、急な来客。「狭くても乗れる」という事実は、ミニバンを持たない家庭にとっては最後の砦になります。「乗れない」と「乗れる(けど狭い)」の差は、心理的に大きいのです。
失敗しない選び方:あなたはどっち?

【GX(5人乗り)】が正解な人
- 予算を抑えたい(乗り出し500万円台)。
- カスタムベースにするから、純正装備はどうでもいい。
- 車中泊ガチ勢で、荷室の高さ(頭上空間)を1cmでも稼ぎたい。
- 車を「道具」として使い倒したい。
【VX/ZX(7人乗り)】が正解な人
- リセールバリューを重視する(3〜5年で乗り換える)。
- サンルーフや快適装備がないと満足できない。
- 「狭くてもいいから7人乗れる」という安心感が欲しい。
さらなる深掘り:次に読むべき記事

定員選びで方針が見えてきたら、次は「内装の質感」と「車中泊の具体策」を確認してください。ここをスルーすると、納車後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。
「GXの内装は本当にチープなのか?」と不安なあなたへ
VX/ZXとの内装の違いを、シート素材からインパネまで写真付きで徹底比較しました。

「7人乗りでも快適に車中泊したい」と願うあなたへ
7人乗りの「傾斜」をどう解消するか?具体的な寸法と、私が実践しているフラット化の秘策を紹介します。

よくある質問(Q&A)

まとめ:おすすめの選択肢

ランクル250の定員選びは、「何人乗るか」ではなく「どのグレード(装備とリセール)が欲しいか」という問いと同義です。
- 5人乗り(GX): 現場主義、カスタム派、車中泊重視。
- 7人乗り(VX/ZX): リセール重視、高級感重視、保険としての7人。
「7人乗りが必要かどうか」で悩む時間は無駄です。
「VX以上の装備とリセールが欲しいか、GXの道具感と安さが欲しいか」。
この二択で決めれば、後悔することはありません。
結局のところ、ランクルは「自分がどう遊びたいか」を映す鏡です。
見栄を張ってVXを買うもよし、泥臭くGXを使い倒すもよし。重要なのは、その選択に「納得」があるかどうかです。
この記事が、あなたのコンパスとなり、最高の相棒選びの一助となれば嬉しいです。
もしこの記事が、あなたの悩みを少しでも軽くできたなら、ぜひSNSやコメントで教えてください。「役に立った」の一言が、次の記事を書く原動力になります。
最後に:あなたの愛車はいくらで売れる?賢い乗り換え術

グレード(定員)の方針が決まったら、次は「現実的な資金計画」です。
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執筆者:『大地のコンパス』編集長 大地
歴代ランドクルーザーを乗り継ぎ、総走行距離50万km超。
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