「4年も待つなんて、人生の無駄遣いだと思いませんか?」
あなたがそう感じるのは正常です。時は金なり。特にビジネスの世界で戦うあなたにとって、納車までの4年という歳月はあまりにも長すぎます。たとえ定価より300万高くても、明日からランクル300に乗れるなら安いものだ──。
その感覚、私は否定しません。私も歴代ランクル(80/100/200)を乗り継ぎ、現在は250に乗っていますが、欲しい車に乗れないストレスは痛いほど分かります。
しかし、ここには致命的な落とし穴があります。
市場に溢れる「登録済未使用車(新古車)」の多くは、転売目的で流通した個体です。もしあなたが何も知らずに手を出し、最寄りのレクサスやトヨタ店で「申し訳ありませんが、このお車は入庫お断りです」と門前払いされたらどうしますか?
接待ゴルフの送迎で、あるいは家族との旅行中にトラブルが起きても、正規ディーラーに助けを求められない。そんな「整備難民」になるリスクが、今のランクル300中古市場には潜んでいます。
この記事では、ランクル300の中古車相場の現状と、プレ値で購入する際に絶対に確認すべき「保証継承のリスク」について、綺麗事抜きで解説します。高い金を払って「ババ」を引かないための防衛策を持ち帰ってください。
なお、ランクル300の納期遅延の全貌や根本的な原因については、下記の記事で詳しく解説しています。

ランクル300中古車相場の現実|定価越えのプレ値はいつまで続くか

結論から言います。ランクル300の中古車相場は依然として「定価の1.5倍〜2倍」の水準で推移しており、定価割れする気配は当面ありません。
2025年現在、一時期のような「2000万円超え」という異常なバブルは弾けましたが、それでも新車価格(約730万〜800万円)に対し、中古車相場は1200万円前後で高止まりしています。これが「即納」の対価です。
2025年時点の相場観
ZXグレード(ガソリン)を例に見ると、残酷な現実は以下の通りです。
| 状態 | 車両本体価格相場 | 新車価格との差額 |
|---|---|---|
| 新車(定価) | 約770万円〜 | ±0 |
| 登録済未使用車 | 1,250万〜1,500万円 | +500万〜700万円 |
| 中古(走行1万km〜) | 1,000万〜1,200万円 | +230万〜430万円 |
| 中古(過走行) | 900万円〜 | +130万円〜 |
※価格は概算であり、オプション内容(モデリスタ等)により変動します。
このように、他人が数万キロ走った中古車であっても、新車定価より高いのが現実です。「少し待てば安くなる」という常識は、ランクル300には通用しません。
なぜここまで高いのか?
単純な需給バランスの崩壊です。国内向けの配車台数が極端に少ない一方で、海外(特に中東・パキスタン・ロシア周辺)での需要は爆発的です。
国内のオークション相場が海外輸出相場に引っ張られているため、我々日本人が国内で乗ろうとすると、この「世界価格」を支払う羽目になるのです。悔しいですが、これがグローバルカーの宿命です。
なお、具体的なオークション相場や、業者が群がる理由については、下記の記事で業界の裏側を暴露しています。
登録済未使用車(新古車)を買うメリットと「転売車」のリスク

まず言葉の定義を明確にしておきます。
登録済未使用車(いわゆる新古車)とは、陸運局での初度登録(ナンバー取得)は完了しているが、一般公道での走行実績がほぼない(数十km以内)車両のことです。
「時間を金で買う」という選択自体は、資本主義において正当な行為です。しかし、そこにはメーカーが仕掛けた「転売規制」という地雷が埋まっています。
メリット:圧倒的な時間短縮と優越感
- 即納:
契約から最短1〜2週間で納車されます。4年待ちの行列を横目に、最新のランクルで公道を走る優越感はプライスレスです。 - 新車同然:
走行距離数十km以内の個体が多く、シートのビニールすら被ったままの状態も珍しくありません。
デメリット:【重要】転売誓約書と保証継承の罠
ここからが本題です。市場に出ている「登録済未使用車」の正体は、最初のオーナーがトヨタとの約束(転売禁止の誓約書)を破って売却した車両である可能性が極めて高いです。
通常、中古車を購入した際は「保証継承」という手続きを行います。最寄りのディーラーで12ヶ月点検(有料)を受けることで、新車保証(メーカー保証)を次のオーナーに引き継ぐ制度です。
しかし、ランクル300に関しては以下のリスクがあります。
ディーラーの入庫拒否:
一部の販社では、誓約書違反で流出したと疑わしい車両の「保証継承(点検)」を拒否するケースが報告されています。
「当店ではお受けできません」と電話一本で断られる屈辱。あなたの社会的地位に見合うサービスは受けられません。
- メーカー保証の喪失: 万が一、保証継承が断られた場合、全ての故障が実費修理となります。
- ナビ・マルチモニター故障: 約80万円
- ヘッドライト故障(片側): 約30万円
スマートキー追加登録: 不可の可能性あり
これらが全て「自腹」になります。ランクル200時代にエアコン故障で20万円払った私ですら震える金額です。
世間体と信用のリスク:
ディーラーに行っても「お客様」として歓迎されず、「転売車を買った人」としてブラックリスト入りの扱いを受ける可能性があります。これは精神衛生上、非常によろしくありません。
▼ 大地編集長の本音メモ
正直に言います。私がもし今、ランクル300を喉から手が出るほど欲しくても、保証継承が確約されていない新古車には絶対に手を出しません。
1000万円オーバーの車で「ディーラー出禁」なんて、リスクリターンが合わなすぎます。オイル交換のたびに肩身の狭い思いをするなんて、豊かなカーライフとは程遠いですよね。
この「輸出転売規制」の詳細や、なぜトヨタがここまで厳しく取り締まるのかについては、下記の記事で背景を解説しています。
失敗しないランクル300中古車の選び方と狙い目グレード

リスクを承知の上で、それでも「今すぐ欲しい」というあなたへ。
せめて、買った後に「売るとき安くて泣く」という事態だけは避けてください。ランクル300はグレードと装備で価値が数百万円変わります。
1. グレードは「ZX(ガソリン)」一択
リセールバリューを考えるなら、ZXのガソリン車以外あり得ません。
ディーゼルは国内需要が中心で、海外輸出の関税や規制の関係上、ガソリン車ほどの高値が付きにくい傾向にあります。GR SPORTも人気ですが、リセールの安定感ではZXガソリンが王道です。
2. 「三種の神器」が付いているか確認する
以下のオプションが付いていない個体は、相場より安くても手を出さないでください。売却時に大きく損をします。
- メーカーオプションナビ(JBLプレミアムサウンド): 必須です。これがないと数百万円価値が下がります。
- リアエンターテイメントシステム: 後席モニター。輸出・国内ともに必須級の人気装備です。
- サンルーフ(ムーンルーフ): 標準装備ですが、確認してください。
また、中古車購入後の「あるある」として、純正ナビでYouTubeが見られなかったり、走行中にテレビが映らないという不満が多く聞かれます。同乗するお子様やパートナーのためにも、ここはケチるべきではありません。
もし購入した個体が純正状態なら、納車後に専門店でキャンセラーやHDMI入力を施工することをお勧めします。ランクル300の施工実績が豊富なショップを選びましょう。
>>純正カーナビやカーAVにplusして「できない」を「できる」に!【ナビ男くん】
3. モデリスタエアロは「加点」要素
モデリスタのエアロパーツが付いている個体は、中東などで非常に人気があります。車両価格が高くても、売却時に評価されるので狙い目です。
リセールバリューを最大化する装備の組み合わせについては、下記の記事で徹底的に分析しています。買う前に必ず目を通してください。

大地編集長のワンポイントアドバイス

結論を言います。「認定中古車(CPO)」がもし見つかれば、それは奇跡です。即決してください。
トヨタの認定中古車であれば、堂々とディーラーでメンテナンスを受けられますし、保証も万全です。しかし、現実は甘くありません。CPO市場にランクル300が並ぶことは稀で、あっても即蒸発します。
必然的に一般の中古車店(専業店)から買うことになるでしょう。その際、私が最も恐れるのは「保証なし」の状態です。
買う前に必ず、その店の営業マンに「最寄りのトヨタディーラーで保証継承できるか確認してくれ」と依頼してください。あるいは、車台番号を聞き出して、自分で地元のディーラーに電話し、「中古でランクル300を買う予定だが、そちらで面倒を見てもらえるか?」と直球で聞くのが一番確実です。
そこで「うちはちょっと…」と言葉を濁されたら、その個体は見送るのが賢明です。1000万払って「ディーラー出禁車」を買うなんて、あまりにも悲しいですからね。
ランクル300中古車に関するよくある質問(Q&A)

結論:「時間」を買うか、「安心」を待つか。答えはあなたの財布だけが知っている

ランクル300の中古車購入について、現実をお伝えしました。
- 相場: 定価+500万円のプレ値は「時間の対価」と割り切れるか。
- 狙い目: ZXガソリン、JBL・リアエンタ・サンルーフ付き以外は買うな。
- 最大のリスク: ディーラー出禁と保証継承不可。
- 対策: 契約前の「ディーラーへの電話確認」だけはサボるな。
4年待つストレスをお金で解決できるなら、新古車購入は決して悪い選択ではありません。ただし、購入後のメンテナンス環境だけは、契約前に泥臭く確認してください。それが、豊かなカーライフを守る最後の砦です。
市場に出回る「新古車」は回転が速く、良い個体(保証継承可能な個体)は一瞬で消えます。
まずは大手サイトで「今、市場にどんなタマがあるのか」を確認し、相場感を養うことから始めてください。戦いはそこからです。
目的別:ランクル300在庫検索のおすすめ
| あなたのタイプ | 推奨サービス | 特徴 |
|---|---|---|
| とにかく数を見たい | カーセンサー | 掲載台数No.1。全国の在庫を網羅的にチェックし、相場観を養うのに最適。まずはここを見るのが基本。 |
| 自分で探すのが面倒 | ガリバー | 非公開在庫の提案。希望条件(ランクル300・新古車)を登録すれば、プロが代わりに探してくれる。 |
>>【カーセンサー.net】車検、廃車、愛車買取プロモーション
全国の在庫を網羅。まずは相場チェックから。
入力は60秒。市場に出ない非公開車両を探すなら。
なぜ私がここまでディーラーとの関係や維持費のリスクにしつこく言及するのか。それは私自身が歴代ランクルで数々の「失敗」と「高額修理」を経験し、その度に財布と心を痛めてきたからです。
私の失敗だらけの車歴と、ランクル250を購入した経緯は、下記のプロフィールで赤裸々に語っています。

もしこの記事が、少しでもあなたの決断の役に立ったなら、SNSでシェアしていただけると嬉しいです。
「ランクル300、やっぱ新古車もありだな」とか「転売車怖すぎ」とか、一言添えていただけると、次の記事を書く原動力になります!
ランクル300の納期や最新情報も含めた総合的な解説に戻る場合は、下記の記事を参考にしてください。

※本記事の相場情報は2025年時点のものです。中古車相場は常に変動します。また、保証継承の可否は個別の車両およびディーラーの判断によります。購入の際は必ずご自身で販売店およびディーラーへ確認を行ってください。


コメント