伝説(V8)の継承か、新時代(V6ターボ)への投資か
トヨタ ランドクルーザー200系、特に2015年以降の後期型(URJ202W)は、自動車史における一つの「完成形」として市場に君臨しています。トヨタが国内正規ラインナップで提供した「最後のV8エンジン」という称号は、単なるノスタルジアを超え、絶対的な信頼性と「感性品質」の象徴として、今なお多くのオーナーを魅了し、中古車市場で価格が高騰するほどの人気を誇っています。
一方で、2021年に登場した現行ランドクルーザー300系は、受注停止が続くほどの熱狂的な需要がその成功を証明しています。しかし、その心臓部からは伝統のV8が消え、V6ツインターボエンジンへと刷新されました。
今、200系のオーナー、そして中古の200系を検討している未来のオーナーは、自動車愛好家として究極の問いに直面しています。
「熟成の極みにあるV8のフィーリングと、その高額な維持費を受け入れ、乗り続けるべきか?」
「それとも、V8という伝統を諦め、最新のプラットフォームがもたらす圧倒的な性能と経済合理性(維持費の安さ)に乗り換えるべきか?」
この記事は、その「乗り換えの価値」を判断するために、単なるスペックの羅列では終わらせません。
「性能の差」:
4.6L V8 NAと3.5L V6ターボ/3.3L V6ディーゼルの「感性的なフィーリング」の違いを、オーナーの生の声も交えて技術的に解剖します。さらに、200系の機械式「KDSS」と300系の電子式「E-KDSS」という、足回りの思想的な違いにも深く踏み込みます。
「維持費の差」:
自動車税、実燃費データ、そして5年間のトータルコストに至るまで、両者を1円単位でシミュレーション。その経済的な差を完全に可視化します。
この記事を読み終える頃には、あなたが「200系に乗り続けるべき」か「300系に乗り換えるべき」か、その明確な答えと論理的な根拠が手に入ります。
【結論】比較サマリー:200系 vs 300系 最大の相違点

まず、多忙な読者のために、両モデルの本質的な違いをまとめた比較表を提示します。
| 比較項目 | ランドクルーザー200系(後期型) | ランドクルーザー300系 | 乗り換え時の主要判断材料 |
|---|---|---|---|
| パワートレイン | 4.6L V8 NA (1UR-FE) | 3.5L V6ターボ (Gas) / 3.3L V6ディーゼル | 「感性のV8」 vs 「実利のディーゼル」。V8のフィーリングはV6ガソリンでは代替不可。 |
| 性能 (出力/トルク) | 318ps / 460Nm | 415ps / 650Nm (Gas) 309ps / 700Nm (Diesel) | 300系が全域で圧倒。特にディーゼルのトルクは別次元の加速を提供。 |
| 自動車税 (年間) | 87,000円 (4.5L超区分) | 57,000円 (3.5L以下区分) | 年間30,000円、300系が明確に安い。法的・固定的なコスト差。 |
| 実燃費 (平均) | 約6.2 – 6.4 km/L (Gas) | 約7.0 km/L (Gas) 約9.4 km/L (Diesel) | ディーゼルなら燃費が約1.5倍に向上。ガソリン同士の差は限定的。 |
| サスペンション | KDSS (機械式油圧制御) | AVS / E-KDSS (電子制御) | 200系の機械式「信頼性」を取るか、300系の電子制御「快適性」を取るか。 |
| 先進安全装備 | TSS-P (トヨタ初搭載) | 最新 Toyota Safety Sense | 300系が機能面(例:LTA、交差点対応)で優位。 |
| 中古車市場 | V8最終モデルとして価格高騰・安定 | 納期遅延により新車価格超え | 200系は「資産」、300系は「投機」。300系は生産正常化で暴落リスクあり。 |
| 盗難リスク | 最大レベル (CANインベーダー) | 最大レベル (CANインベーダー) | 乗り換えでは解決しない共通の課題。どちらも最強の対策が必須。 |
【徹底比較】200系 vs 300系 8つの主要な相違点

第1章:思想と骨格の変革 – 「熟成の200系」 vs 「革命の300系」
両者の違いを理解する上で最も重要なのは、その土台となる設計思想です。
ランドクルーザー200系(URJ202W)の設計思想:熟成の集大成
ランドクルーザー200系は、2007年から2021年という14年もの長きにわたって生産されました。本記事では、その中でも技術的に熟成され、中古車市場での人気が最も高い、2015年以降の後期型(エンジン: 1UR-FE / 安全装備: TSS-P搭載モデル)を比較対象とします。
200系の本質は、世界の高級SUVがこぞってモノコックボディへと移行する時代にあえて、伝統のラダーフレーム構造を堅持した点にあります。これは懐古主義ではなく、「地球上のあらゆる過酷な環境下での絶対的な走破性」「高い耐久性」、そして万が一の際の「修理の容易性」を担保するという、ランドクルーザーの根源的な使命に基づく戦略的な選択でした。200系とは、トヨタが持つボディオンフレーム技術の「熟成の集大成」なのです。
ランドクルーザー300系の設計思想:GA-Fプラットフォームという革命
対する300系は、TNGA(Toyota New Global Architecture)思想に則った新設計のラダーフレーム、「GA-Fプラットフォーム」を採用しました。これがもたらした最大の変革は、車両全体で約200kgという劇的な軽量化です。
この「200kgの軽量化」こそが、本記事で比較する「性能」と「維持費」のすべてに影響を及ぼす根本的な要因です。
- 車体が軽くなれば、より小さな力で車を動かせます。
- これにより、エンジンの小排気量化(ダウンサイジング)が可能になりました。
- 結果として、(A) 燃費が向上し(維持費の低減)、(B) 運動性能(加速、コーナリング)が劇的に向上(性能の向上)しました。
一方で、オフロード性能と室内空間のバランスを決定づけるホイールベースは、200系から意図的に2,850mmという「黄金比」を継承しています。これは、伝統を守りつつ中身だけを根本から刷新した、300系が「革命」と呼ばれる所以です。
第2章:【性能比較①】心臓部の決別:「V8のフィーリング」 vs 「V6ターボのパワー」
読者の皆様の最大の関心事、V8とV6の違いをスペックと「フィーリング」の両面から解剖します。
200系 V8 (1UR-FE)の価値:「スペック超え」の感性品質
データ:
4.6L V8自然吸気エンジン(1UR-FE)、最高出力 318ps、最大トルク 460Nm。これに6速オートマチックトランスミッション(6AT)が組み合わされます。
オーナーの評価:
200系の真価は、この数字には表れません。200系を所有したオーナーが口を揃えて賞賛するのは、「普段の運転で2000回転を超えることはほとんど無い」という圧倒的な低回転トルクと、それに伴う「静粛性」です。
価値の定義(経験):
200系の価値とは、V8エンジンがもたらす「どこまでも滑らかな回転フィーリング」と「何事にも動じない余裕」という感性品質にあります。大排気量NAエンジンならではの、アクセル操作にリニアに反応するトルクの立ち上がりは、「古き良きトヨタ」の思想が残る、最後のモデルと言えるかもしれません。
300系 V6ターボ (V35A-FTS) の実力:「速さ」と「ノイズ」のトレードオフ
データ:
3.5L V6ツインターボ(V35A-FTS)、最高出力 415ps、最大トルク 650Nm。Direct Shift-10ATとの組み合わせです。
性能の進化:
スペック上は、出力で+97ps、トルクで+190Nmと、200系を完全に凌駕しています。
オーナーの評価(経験):
しかし、V8オーナーが乗り換えた場合、フィーリングの違いに戸惑う可能性があります。オーナーの経験によれば、ダウンサイズターボの特性として「普段から3000回転あたりまで使う」必要があり、V8の圧倒的な静粛性を知っていると「うるさい」と感じる可能性が指摘されています。
300系 V6ディーゼル (F33A-FTV) という「真の後継者」
データ:
3.3L V6ツインターボディーゼル(F33A-FTV)、最高出力 309ps、最大トルク 700Nm。
「真の後継者」としての提言:
200系オーナーがV8に求めている本質が「低回転からの余裕あるトルク感」という感性品質であるならば、その論理的な後継者は300系のV6ガソリン(650Nm)ではありません。
V8の460Nmを遥かに超える700Nmという強大なトルクを、ガソリン車より低い回転数で発生させるV6ディーゼルこそが、V8の「フィーリング」を「トルク」という形で正しく継承した後継者と言えます。
結論:
300系のV6ガソリンは、V8のフィーリングの代替にはなり得ません。しかし、300系のV6ディーゼルは、V8のフィーリングをトルク性能で再現しつつ、圧倒的な経済性(後述)をもたらす「論理的かつ感性的な最適解」となります。
【スペック比較表】200系 vs 300系 パワートレイン
| 項目 | 200系(後期型) | 300系(ガソリン) | 300系(ディーゼル) |
|---|---|---|---|
| エンジン型式 | 1UR-FE | V35A-FTS | F33A-FTV |
| 種類 | 4.6L V型8気筒 NA | 3.5L V型6気筒 ツインターボ | 3.3L V型6気筒 ツインターボ |
| 最高出力 | 318ps | 415ps | 309ps |
| 最大トルク | 460Nm | 650Nm | 700Nm |
| トランスミッション | 6速AT | 10速AT | 10速AT |
| オーナー評価 | 静粛性が高く、滑らか | 高回転型でV8よりうるさい | トルクフルで力強い |
第3章:【性能比較②】サスペンション技術の進化:「機械式 KDSS」 vs 「電子式 E-KDSS」
ランドクルーザーの「オンロードの快適性」と「オフロードの走破性」という二律背反を支えるサスペンション技術も、大きな思想的転換を遂げました。
200系の「KDSS(キネティックダイナミックサスペンションシステム)」
200系の(AX “Gセレクション”以上に)搭載されたKDSSは、その乗り心地の鍵を握る技術です。
技術解説:
車体の前後のスタビライザーを、油圧シリンダーで連結するシステムです。
オンロード時:
コーナリングで車体が傾くと、油圧シリンダーがスタビライザーの機能を即座に作動させ、ロール(横揺れ)を厳格に抑制します。これが200系の「セダンのような」と評されるフラットな乗り心地の秘訣です。
オフロード時:
悪路で左右の車輪が互い違いに動くと、スタビライザーの機能が実質的に解除され、サスペンションストロークが最大化。タイヤが路面を捉え続け、驚異的な走破性を発揮します。
価値の定義:
200系のKDSSの核心は、これら一連の動作を「機械式の油圧制御」で完結させている点です。これは、複雑な電子制御を極力排し、機械としての信頼性を最優先するランドクルーザーの伝統的な思想を色濃く反映しています。
300系の「AVS / E-KDSS」
300系は、このサスペンション制御を電子化・高度化することで、さらなる快適性と走破性を目指しました。
ZXグレード:
新たにAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)を搭載。これは路面状況に応じてショックアブソーバーの減衰力を「自動制御」するシステムで、200系よりもさらに滑らかでフラットなオンロード性能を追求しています。
GR SPORTグレード:
世界初のE-KDSSを搭載。これは200系のKDSSを電子制御化したもので、スタビライザーのロック/フリー状態を、油圧ではなく電子制御でより最適に、より素早く切り替えることで、オフロード走破性をさらに高めています。
【比較結論】乗り換えの価値は?
- オンロードの快適性を最重要視するならば、300系(特にAVS搭載のZX)が明確に優位です。GA-Fプラットフォームによる200kgの軽量化と、電子制御サスペンションの組み合わせは、200系よりワンランク上の快適性を提供します。
- オフロードの信頼性を重視するならば、議論が分かれます。性能自体はE-KDSSが上回りますが、200系の「機械式KDSS」のシンプルな構造と、14年間の熟成による「枯れた信頼性」を「信頼の証」として好むベテランオーナーも多く存在します。
第4章:【維持費の差①】最大の分岐点。「自動車税」の法的・経済的インパクト
ここからは、乗り換え検討において最も客観的かつ揺るがない判断材料となる「維持費」の差を分析します。200系オーナーが乗り換えを検討する最大の動機付けが、この自動車税です。
200系 (4.6L):
- 排気量: 4,608cc
- 税区分: 「総排気量4.5リットル超 5.0リットル以下」
- 年間自動車税: 87,000円(※2019年10月1日以降登録の新税率。それ以前の登録車両は88,000円)
300系 (3.5L / 3.3L):
- 排気量: 3,444cc (ガソリン) / 3,345cc (ディーゼル)
- 税区分: 「総排気量3.0リットル超 3.5リットル以下」
- 年間自動車税: 57,000円
【維持費の差額:自動車税】
87,000円 (200系) – 57,000円 (300系) = 30,000円
300系への乗り換えは、法的に定められた固定費を、毎年30,000円削減することを意味します。
これは、5年間で150,000円、10年間で300,000円という、極めて大きな差額となります。
第5章:【維持費の差②】「実燃費」と「年間燃料費」の徹底シミュレーション
次に、変動費の主役である「燃料費」を比較します。ここでは、カタログ燃費ではなく、オーナー報告に基づく「実燃費」データを使用します。
実燃費データの比較分析:
200系(V8 Gas):
オーナー報告による実燃費の平均は 約6.2~6.4km/L です。ここでは中間値の 6.3km/L を採用します。
300系(V6T Gas):
オーナー報告による実燃費の平均は 約7.0km/L です。
300系(V6T Diesel):
オーナー報告による実燃費の平均は 約8.6km/L ~ 10.2km/L と幅がありますが、ここでは保守的な中間値として 9.4km/L を採用します。
ディーゼル特有のコスト(AdBlue):
300系ディーゼルは、排出ガス浄化のためにAdBlue®(高品位尿素水)の補充が必須です。
消費目安は「1,000kmの走行で1L」。年間10,000km走行する場合、10LのAdBlue®が必要となります。
コストを1Lあたり350円と仮定すると、年間約3,500円 の追加コストが発生します。
シミュレーション(年間10,000km走行時)
200系 (V8 Gas) の年間燃料費:
(10,000km×6.3km/L)×170円/L = 年間 約269,841円
300系 (V6T Gas) の年間燃料費:
(10,000km×7.0km/L)×170円/L = 年間 約242,857円
300系 (V6T Diesel) の年間燃料費(AdBlue込):
{ (10,000km×9.4km/L)×145円/L } + 3,500円 = 年間 約157,755円
燃料費の結論:
200系から300系ガソリンへの乗り換えでは、燃料費の差は年間約27,000円と限定的です。
しかし、300系ディーゼルへ乗り換えた場合、AdBlue費用を加味しても、年間約112,086円(269,841円 – 157,755円)という劇的な燃料費削減が期待できます。
第6章:【5年間トータルコスト比較】乗り換えた場合、総額いくら得(損)をするか?
本記事の核心です。「乗り換えの価値」を金銭的に定量化するため、第4章(税金)と第5章(燃料費)のデータを統合し、5年間のトータルコストを算出します。
【シミュレーション】200系 vs 300系 5年間の主要維持費 比較
| 項目 | 200系 (V8 Gas) | 300系 (V6T Gas) | 300系 (V6T Diesel) |
|---|---|---|---|
| ① 自動車税 (5年分) | 435,000円 (87,000円×5年) | 285,000円 (57,000円×5年) | 285,000円 (57,000円×5年) |
| ② 燃料費 (5万km分) | 1,349,205円 (269,841円×5年) | 1,214,285円 (242,857円×5年) | 771,275円 (154,255円×5年) |
| ③ AdBlue費用 (5万km分) | 0円 | 0円 | 17,500円 (3,500円 $\times$ 5年) |
| 5年間の総維持費 (①+②+③) | 1,784,205円 | 1,499,285円 | 1,073,775円 |
| 200系との差額 (5年間) | – | – 284,920円 | – 710,430円 |
このシミュレーションが示す事実は、極めて明確です。
200系オーナーは、「V8のフィーリング」という感性的な価値を維持するために、5年間で約71万円(対300系ディーゼル比)の「V8維持コスト」を支払っていることになります。
したがって、乗り換えの問いは、「あなたにとって200系のV8フィーリングは、5年間で71万円以上の価値がありますか?」という、具体的な問いに変換されます。
300系ディーゼルに乗り換えることは、5年間で約71万円を節約し、さらにV8を超える700Nmのトルクと最新の安全装備を手に入れることを意味します。このトレードオフを理解することが、本記事の最大の提供価値です。
第7章:【性能比較③】安全性と先進技術の進化
コストとパワー以外の「性能」として、安全性と快適装備の進化も無視できません。
先進安全装備(ADAS)の比較:
200系(後期):
記念碑的なモデルではありますが、搭載されているのは2015年デビューの「Toyota Safety Sense P(TSS-P)」です。機能は主に、(1)歩行者検知付きプリクラッシュ、(2)レーダークルーズコントロール、(3)レーンディパーチャーアラート(LDA)、(4)オートマチックハイビーム(AHB)の4つです。
300系:
最新世代の「Toyota Safety Sense」を搭載しています。TSS-Pの機能に加え、車線中央を維持するレーントレーシングアシスト(LTA)や、交差点での右左折時の対向車・歩行者検知など、検知範囲と制御の精度が大幅に向上しています。
結論:
安全性を最優先事項とするならば、300系が明確に優位です。
その他の先進技術:
300系は、トヨタ初となる「指紋認証スタートスイッチ」を搭載し、セキュリティの概念を一新しました。
また、12.3インチの大型ディスプレイオーディオ、ヘッドアップディスプレイ、Apple CarPlay/Android Autoへの対応など、200系では得られない現代的な快適装備を標準で備えています。
第8章:【実用性・リスク比較】内装、リセール、そして最大の敵「盗難」
最後に、スペック表には現れない、実用性とリスクを比較します。
内装と実用性の比較(300系の意外な弱点):
300系は、3列目シートが床下に格納される方式となり、荷室空間がスッキリしました。
しかし、オーナーレビューでは「床面が完全なフラットにはならない」、そして「2列目シートがスライドしない」という、実用面での重大な欠点が指摘されています。
対する200系は、3列目シートが旧来の跳ね上げ式で邪魔になるものの、2列目をタンブル格納した際の荷室は(段差はあるものの)広く、車中泊などを重視するユーザーにとっては、200系の方が使い勝手が良いと感じる可能性があります。
リセールバリュー(資産価値)の比較:
200系:
「V8最終モデル」という希少価値、14年間の熟成による信頼性、そして堅調な海外需要により、中古車価格が異常な高騰を続けています。この価値は今後も暴落しにくく、「手堅い資産」と言えます。
300系:
「新車納期4年待ち」という異常な需給バランスにより、中古車が新車価格を超えるプレミアム価格となっています。
リスク比較:
300系の現在のリセールバリューは、トヨタの生産が正常化すれば一気に暴落するリスクを孕んでいます。対照的に、200系の「V8希少価値」は時間が経つほど高まるため、資産防衛の観点では200系の方が安全な投資である可能性があります。
盗難リスク(CANインベーダー)の比較:
共通の脅威:
200系、300系ともに、最新の盗難手口「CANインベーダー」の最大のターゲットです。
結論:
盗難対策の観点において、200系から300系への乗り換えは全くの無意味です。どちらのモデルを所有するにせよ、別途数十万円の最強のセキュリティ対策(物理ロック、社外イモビライザー等)が必須コストとなります。


第9章:最終結論 – 200系から300系へ「乗り換える価値」はあるか?
これまで「性能」と「維持費」の観点から両者を徹底的に比較してきました。200系(後期)と300系の本質的な違いを要約します。
ランドクルーザー200系(後期)
ランドクルーザー200系(後期)は、「熟成されたV8エンジンの感性品質」と「機械式KDSSの枯れた信頼性」を持つ、伝統の集大成です。
ランドクルーザー300系
ランドクルーザー300系は、「GA-Fプラットフォームによる200kgの軽量化」を基盤に、「V6ターボの圧倒的なパワー(特にディーゼルの700Nmトルク)」と「年間10万円以上も可能な劇的な維持費の安さ」を手に入れた、技術の革命です。
この事実を踏まえ、「乗り換える価値はあるか?」という問いに対する、ライフスタイル別の最終提言を以下に示します。
シナリオ1:【いますぐ300系ディーゼルへ乗り換えを推奨】する人
- 年間走行距離が1万kmを超え、毎年の維持費(税金・燃料費)を劇的に節約したい人。(5年間で約71万円の差は絶大です)
- V8のフィーリングよりも、V8を超える700Nmの圧倒的なトルクとパワーに強い魅力を感じる人。
- TSS-Pの性能に物足りなさを感じており、LTA(レーントレーシングアシスト)など最新の安全装備が必須だと考えている人。
- 4年以上の新車納期を待てず、プレミアム価格を支払ってでも最新モデルを所有したい人。
シナリオ2:【200系(後期)の維持、または中古購入を推奨】する人
- 「トヨタ最後のV8」という感性的な価値と希少性に、年間10数万円以上の「V8維持コスト」を支払うことを厭わない、ロマンを重視する人。
- 年間走行距離が極端に短く(例:年間3,000km以下)、維持費の差額メリットが出にくい人。
- 300系ガソリンの「回して出す」フィーリングが許容できず、ディーゼルのガラガラ音も好みではない人。
- 300系の生産正常化による「リセールバリュー暴落」を懸念し、資産価値が安定した200系を「安全資産」として持ち続けたい人。
- 車中泊などで荷室の「完全フラット」を多用するため、300系のシートアレンジ(2列目スライド無し、3列目フロア格納)が実用性に合わない人。
Q&A:200系と300系比較でよくある質問

まとめ:あなたの選択が、あなたの「ランクル哲学」を定義する

本記事では、「ランドクルーザー200系 vs 300系」という壮大なテーマに対し、「性能」と「維持費」という2つの明確な観点から徹底的に比較分析を行いました。
記事の要約:
性能:
300系は「GA-Fプラットフォーム」による200kgの軽量化と「V6ツインターボ」により、200系V8をスペックで圧倒します。しかし、「フィーリング」の面ではV8の静粛性・滑らかさを支持する声も根強く残ります。
維持費:
300系は排気量区分が下がるため、自動車税が年間3万円安くなります。さらに300系ディーゼルモデルは、200系ガソリン比で年間10万円以上の燃料費節約も期待できます(第6章シミュレーション)。
「乗り換える価値はあるか?」という問いへの最終回答は、「経済合理性を求めるなら、300系ディーゼル一択。ただし、V8の感性価値は失われる」です。
5年間で約71万円という維持費の差額(第6章シミュレーション)は、V8のフィーリングを維持するためにあなたが支払う「コスト」として明確に定量化できました。
- あなたが「性能と経済性」を最重視する合理主義者であり、V8を超える700Nmのトルクに魅力を感じるならば、300系ディーゼルは最高の選択です。
- あなたがV8エンジンの「フィーリングと歴史的希少価値」に、5年間で71万円以上の価値を見出すロマン派であるならば、200系(後期)は最高の相棒であり続けます。
どちらの選択も間違いではありません。あなたの選択そのものが、あなたの「ランドクルーザー哲学」を定義するのです。
あなたの決断は固まりましたか? どちらを選ぶにせよ、まずはご自身の「200系」の現在の資産価値を正確に把握することが、乗り換え戦略の第一歩です。V8最終モデルとして、あなたが想像する以上の高値がつく可能性も十分にあります。
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引用文献
- ランクル300の受注再開はいつ?2025年11月の最新情報と注文方法を徹底解説 – 株式会社イード
https://www.iid.co.jp/contents-mobility/landcruiser300/ - ランクル300納車待ちの今!2025年最新状況と購入検討者が取るべき具体的行動5選 – note
https://note.com/luxury_car_life/n/n124b22e0466b - 『ランクル200とランクル300』 トヨタ ランドクルーザー300 の …
https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/toyota/landcruiser_300/chiebukuro/detail/?qid=13215032448 - ランクル300系【維持費】年間いくら?ディーゼル/ガソリンの税金 …
https://daichi-no-compass.com/lc300-maintenance-cost/ - ランドクルーザー“300” | 走行性能 | トヨタカローラ広島公式サイト
https://www.t-corolla.co.jp/lineup/landcruiser300/performance - ランドクルーザー200の燃費 (給油情報 2,338件) – みんカラ
https://minkara.carview.co.jp/car/toyota/landcruiser200/nenpi/ - ランドクルーザー300の燃費 (給油情報 1,597件) – みんカラ
https://minkara.carview.co.jp/car/toyota/landcruiser_300/nenpi/ - ランクル300の実燃費は何km/L?街乗りや高速でディーゼルvsガソリン徹底比較!
https://jimm.hateblo.jp/entry/20250814/1755117062 - ランクル(ランドクルーザー)の燃費は悪い?ディーゼル車や競合車種と徹底比較 – カーセブン
https://www.carseven.co.jp/magazine/news/2993/

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