「都会のど真ん中で、あの無骨なランクル60ディーゼルを転がしたい」
「キャンプ場で映える愛車を、マンションの駐車場に停めたい」
その夢、今のままでは違法になります。陸運局のゲートさえくぐれません。
結論から言います。東京都や大阪府などの「対策地域」でランクル60のディーゼルモデル(HJ61V/HJ60V)に乗るには、車両代とは別に「100万円以上」の現金が必要です。
「えっ、そんなにかかるの? 奥さんになんて説明しよう…」と冷や汗をかいた方。
それが正常な反応です。しかし、この事実を知らずにハンコを押すと、納車直後に「登録できない鉄塊」を抱え、家庭崩壊か自己破産の道を歩むことになります。
私は元整備士として、そして歴代ランクルで50万kmを走破してきたオーナーとして断言します。
「生半可な覚悟なら、ディーゼルは諦めろ。」
この記事では、規制地域内でランクル60ディーゼルに乗るための「残酷な条件」と「具体的な抜け道」、そして「そこまでして乗る価値があるのか?」という究極の問いに、私の実体験を交えて答えます。
▼ この記事でわかること(3行要約)
- 【絶望】 首都圏・関西圏では、ノーマルの60ディーゼルは登録・車検不可。
- 【出費】 適合装置と公認取得に「100万円〜」かかり、リセールはゼロ査定。
- 【正解】 金持ち以外は「ガソリン車(FJ62G)」を選ぶのが唯一の生存ルート。
NOx・PM法規制の全貌と、維持費の現実については、下記の記事で詳しく解説しています。
\ 恐怖の維持費…年間いくらかかるか知っていますか? /

NOx・PM法規制とは?対象地域と「乗れない」理由

結論です。以下の地域に「使用の本拠(車庫)」を置く場合、ノーマルのランクル60ディーゼルは登録できません。
これは環境省が定める「自動車NOx・PM法」という法律によるもので、基準を満たさない古いディーゼル車の登録を物理的に拒否する制度です。
規制対象地域(対策地域)一覧
あなたの住所が以下に含まれていたら、赤信号です。
- 首都圏: 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の主要地域
- 関西圏: 大阪府、兵庫県の主要地域
- 中部圏: 愛知県、三重県の主要地域
※「主要地域」と書きましたが、実際にはかなり広範囲です。必ず環境省や各自治体のHPで番地レベルまで確認してください。「隣の町はOKなのにウチはダメ」という理不尽が平気で起こります。
「登録できない」と「走れない」の違い
ここを混同している人が多いので整理します。
- × 登録できない: 対策地域に住んでいて、そこでナンバーを取得すること。(NOx・PM法)
- ○ 走れない: 条例により、対策地域内を走行すること。(各自治体のディーゼル車規制条例)
NOx・PM法はあくまで「登録」の制限です。
しかし、東京都などの一部地域では、条例により「適合していない車の走行自体」も禁止されています。つまり、地方で登録した60で東京に遊びに来ると、条例違反で検挙されるリスクがあるのです。
※実際にはステッカー等の確認が主ですが、法令遵守の観点からはアウトです
▼ 大地編集長の「現場の裏話」
私が整備士をしていた頃、対策地域に引っ越してきたお客さんが「愛車のランクル70(ディーゼル)を継続車検に通したい」と泣きついてきたことがあります。
結論、無理でした。
引っ越しで住所変更(使用の本拠の変更)をする義務が発生した時点で、陸運局でブロックされるからです。
その方は泣く泣く手放しましたが、「法律は無知な人間に容赦しない」という現実を目の当たりにしました。あなたには同じ思いをしてほしくありません。
規制解除の現実|適合費用100万円の内訳とリスク

「金ならある。法律の壁を金で壊したい」
そんな修羅の道を行く方のために、唯一の解決策「NOx・PM法適合装置(酸化触媒など)」の導入コストを公開します。
適合対策費用の相場(概算)
これは私が懇意にしている四駆専門店の実際の見積もり例です。
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 排ガス低減装置(触媒) | 60万〜90万円 | 車種・エンジン形式による |
| 取り付け工賃 | 10万〜15万円 | マフラー加工等含む |
| ガス検査・書類作成費 | 20万〜30万円 | 陸運局公認取得のため |
| 合計 | 約90万〜135万円 | 車両代別 |
車両価格250万円の60を買っても、乗り出しは350万円〜400万円コース確定です。
しかも、これはあくまで「登録するためだけ」の費用。納車整備やカスタム費用は別です。
【重要】リセール時に費用は戻ってこない
ここが最大の落とし穴であり、私が最も警告したいポイントです。
あなたが血と汗の結晶である100万円を投じて適合させても、売却時の査定額には1円も上乗せされません。
なぜなら、中古車市場のバイヤーは全国(あるいは海外)を相手に商売をしており、「対策地域限定の装備」には価値を見出さないからです。
北海道や九州の人にとって、その触媒は「排気抵抗になる邪魔な筒」でしかありません。
つまり、適合費用100万円は「完全な掛け捨ての贅沢費」です。
投資対効果(ROI)はマイナス100%。これを奥様に説明して、首を縦に振らせることができますか?
性能ダウンの不都合な真実
さらに毒を吐きます。触媒を付けると、間違いなく「抜け」が悪くなります。
12H-Tエンジンの魅力である、あの低回転から湧き上がるトルク感と、背中を蹴飛ばされるような加速。これが、フィルターを通すことで「去勢」されたようにマイルドになってしまう可能性があります。
「100万払って、性能を落として、売る時はタダ」
これが規制解除のリアルです。
それでも乗りたい人へ|具体的な解決策と抜け道の嘘

現実を知った上で、それでも「ランクル60以外愛せない」というあなたへ。3つの選択肢を提示します。
1. 適合装置を付けて公認を取る(王道)
前述の通り、100万円以上払って専門ショップで対策を行います。
これが最もクリーンで、胸を張って乗れる方法です。金さえあれば解決します。
ただし、都会での保管は「盗難リスク」との戦いでもあります。
窃盗団にとって、旧車ランクルは「宝の山」どころか「鍵のついていない金庫」と同じです。適合費用に加え、パンテーラやクリフォードといった最強クラスのセキュリティ(さらに30万円〜)が必須になります。
これをケチると、適合させた翌週にヤードで解体され、海外へドナドナされていきます。笑い話ではありません。
2. ガソリン車(FJ62G/FJ62V)を選ぶ(推奨)
私が最も推奨するのがこれです。ガソリンエンジンのランクル60なら、NOx・PM法は対象外。全国どこでもそのまま登録できます。
「ガソリンじゃランクルらしくない」なんて言うのは、乗ったことのない外野だけです。
燃費はリッター3〜4kmと地獄ですが、100万円の適合費用をガソリン代の差額で埋めるには、計算上約5万km〜7万km走る必要があります。
週末利用がメインなら、ガソリン車の方がトータルコストは圧倒的に安く、しかもエンジンのコンディションも維持しやすいです。
良い個体は市場に出てもすぐに売れてしまいます。「在庫問い合わせ」を使って、ネットに出る前の車両も含めて探すのが近道です。
\ ネットに出ない「非公開車両」を優先的に紹介してもらう /
3. 【絶対禁止】車庫飛ばし
「実家の住所で登録して、東京で乗ればいいや」
これは「車庫飛ばし」という立派な犯罪(刑法上の公正証書原本不実記載等罪)です。5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
警察に見つかれば逮捕されますし、何より事故を起こした際に任意保険が下りない可能性が高いです。人生が終わります。絶対にやめてください。
1ナンバー登録と3ナンバー登録による規制の違いについては、下記の記事で詳しく解説しています。
\ 「1ナンバーなら税金が安い」…その裏にあるデメリットとは? /
大地編集長のワンポイントアドバイス

正直に言います。あなたがもし「少しでも安くランクル60に乗りたい」と考えているなら、規制地域内でのディーゼル購入は絶対にやめるべきです。
100万円かけて適合させても、車は40年前の旧車です。その直後にエアコンが壊れ(修理費20万)、オルタネーターが死に(修理費8万)、さらに数十万円が飛んでいきます。「適合費用でお金が尽きました、修理できません」なんていうのは、車に対する虐待です。
「金ならある。この12H-Tエンジンの鼓動のためなら、100万など安いものだ」と言える変態(褒め言葉)だけが、この扉を開けてください。それ以外の人は、大人しくガソリン車のFJ62Gを探すのが賢明です。それが、あなたと車の両方を守る選択ですよ。
ディーゼルエンジンの詳細と他モデルの事情

ランクル60には複数のディーゼルエンジンが存在します。特に人気なのは「12H-T」ですが、規制の壁はどのエンジンでも同じです。
また、「60は諦めるけど、やっぱりディーゼルに乗りたい」という方は、次世代のランクル80も検討の価値があります。こちらも規制対象ですが、モデルによっては対策がしやすい場合もあります。
最強のディーゼル「12H-T」を搭載したHJ61Vの詳細や、エンジンの寿命、80系ディーゼルの規制事情については、下記の記事で詳しく解説しています。
\ 最強ディーゼル「12H-T」の魅力とスペック詳細 /
\ ランクルディーゼルは本当に「50万km」走れるのか? /
\ 60の次は80?次世代ディーゼルの規制事情 /

NOx・PM法に関するよくある質問(Q&A)

まとめ:金と情熱で「不合理」を愛せるか

規制地域内でランクル60ディーゼルに乗るための条件を、もう一度整理します。
- 規制対象地域か確認する: 首都圏・関西・中部の主要都市はほぼ全滅。
- 100万円を用意する: 適合装置と工賃、予備検査でこれくらい飛ぶ。これは「掛け捨て」と割り切る。
- ガソリン車を検討する: FJ62Gなら規制クリア。燃費の悪さは我慢。
- 犯罪は犯さない: 車庫飛ばしは逮捕のリスクあり。
100万円という大金は、あなたの汗と涙の結晶でしょう。
それを「排気ガスをきれいにする装置」のためだけに投げ捨てる。
リセールも期待できない。パワーも落ちるかもしれない。
こんな不合理な選択、普通ならありえません。
しかし、もしあなたが早朝のキャンプ場で、あの12H-Tエンジンの「ガラガラ」というアイドリング音を聞きながらコーヒーを飲む瞬間に、「ああ、生きててよかった」と思える種類の人間なら。
その100万円は、人生最高の体験への「入場料」になるかもしれません。
私は、そんな不合理な夢を追うあなたを笑いません。
ですが、維持するには情熱と同じくらい「現金」が必要です。
覚悟が決まったら、信頼できる専門店へ相談に行きましょう。
逆に、「そこまでは無理だ」と冷静になれたあなた。
その判断は賢明であり、家族を守る英断です。今の車を高く売って、規制のかからないガソリン車や、最新のランクル250の資金に充てましょう。
なぜ私がここまで辛口な本音を書けるのか?私の過去の失敗と車歴は、下記のプロフィールで赤裸々に語っています。
\ ランクルで50万km走った男の「失敗と散財」の記録 /

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ランクル60の維持費や選び方の全貌に戻る場合は、下記の記事を参考にしてください。
\ 維持費、燃費、故障率…60購入前に読むべき「絶望の書」 /

免責事項
※本記事に記載されている適合費用や法規制の情報は、執筆時点のものです。法改正や物価変動により変更となる場合があります。
※NOx・PM法対策の可否や登録の判断は、必ず管轄の陸運支局や専門ショップへ直接相談してください。
※本記事の情報に基づいて生じた損害について、当メディアは一切の責任を負いません。

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