レトロで角ばったスタイルが大人気のランクル60。「一生モノの相棒にしたい」と夢見て購入を検討しているあなたに、まず冷や水を浴びせます。
ランクル60は、確実に壊れます。
今の車のように「メンテナンスフリーで10万km」などあり得ません。
納車帰りの高速道路でオルタネーターが死んでレッカー移動、というのも「よくある話」です。
この記事では、元ランクル整備士であり、数々の故障で財布を痛めてきた私が、ランクル60で必ず直面する「定番の故障箇所」と「リアルな修理費用」を包み隠さず公開します。
正直に言います。
世帯年収に余裕がない、または「車の修理で数十万?」と顔をしかめる奥様を説得できないなら、悪いことは言いません。諦めてください。
これを読んでなお、「それでも乗りたい。直すのも愛だ」と言い切れる筋金入りの『好きモノ』だけが、60のオーナーになる資格があります。
【この記事でわかること】
- 定番故障: 電装系・燃料系の「突然死」リスク
- 維持の現実: 修理費30万円は「初期費用」の一部
- 覚悟の量: 路上で止まっても笑えるメンタルの作り方
ランクル60故障の定義と心構え

まず前提として、ランクル60は製造から35年以上が経過した「立派なクラシックカー」です。
「故障」と騒ぐのはお門違い。これらは全て「寿命」であり「定期交換」です。
現代の車とは、付き合い方の次元が違います。
故障ではなく「消耗品の交換」です
多くのオーナーが「また故障した」と嘆きます。
しかし、30年も前のゴムホースやパッキンが、今まで持っていたこと自体が奇跡なのです。
ランクル60に乗るということは、これらを一つずつ新品に交換していく「レストア作業」そのものです。
修理にお金をかければかけるほど、車両の資産価値は維持・向上されます。
単なる出費ではなく「投資」だと割り切るメンタルが必要です。
▼ 大地編集長の実体験コラム:オイル漏れの代償
私が初めて60を買った時、喜び勇んでアパートの駐車場に停めました。
翌朝、車の下には直径30cmほどの黒い水たまりが…。
大家さんに激怒され、高圧洗浄代を請求されたのは苦い思い出です。
「ランクル60はテリトリー(駐車場)をマーキングする」。これは比喩ではありません。段ボール常備は必須です。
路上停止と「駐車場のシミ」のリスク
どんなに整備された個体でも、突然死のリスクはゼロになりません。
特に電装系と燃料系のトラブルは、前触れなくエンジン停止を招きます。
また、オイル漏れは「標準装備」と思ってください。
自宅の駐車場が綺麗なコンクリートだったり、賃貸マンションだったりする場合、床にオイルの染みを作ってトラブルになるケースが多発しています。
ランクル60の電装系故障:オルタネーター・スターター

もっとも出先で止まる原因となるのが、この電装系トラブルです。
家族との楽しいドライブ中にエンジンが止まる恐怖、想像できますか?
オルタネーター(ダイナモ)の突然死
エンジンの動力を電気に変える発電機です。
これが死ぬと、バッテリーの電力を使い果たした時点でエンジンが停止し、二度とかかりません。
- 症状:
メーター内の警告灯(バッテリーマークや軽油フィルター警告灯など)が全点灯する「クリスマスツリー状態」になる。 - 費用:
リビルト品交換で約5〜8万円。 - 対策:
10万km、または10年ごとの交換が必須。予兆なく死にます。
納車整備で交換されていないなら、即交換すべき最優先パーツです。
また、オルタネーターが弱るとバッテリーへの充電不足を引き起こします。適合サイズや寿命判断については、下記の記事で解説しています。
\ 冬の朝、エンジンがかからない絶望を防ぐ /
スターター(セルモーター)の寿命
エンジンを始動させるためのモーターです。これも内部の接点(マグネットスイッチ)が摩耗して動かなくなります。
コンビニ休憩の後、再始動できずにレッカー待ち2時間…なんて悲劇を避けるために、予兆を感じたら即交換です。
- 症状: キーを回しても「カチッ」と言うだけでエンジンが回らない。
- 費用: リビルト品交換で約4〜6万円。
- 対策: 叩けば一時的に直ることもありますが、あくまで応急処置です。
ランクル60の致命傷:噴射ポンプの燃料漏れ

ディーゼル車(2H、12H-Tエンジン)の心臓部である噴射ポンプ。
ここからの燃料漏れは、車検NGとなるだけでなく、最悪の場合は車両火災に繋がります。
ディーゼル車の噴射ポンプ・オーバーホール
経年劣化でパッキン(Oリング)が硬化し、軽油がポタポタと漏れ出します。また、内部摩耗によりエンジンの始動性が悪くなったり、黒煙が増えたりします。
【修理費用の目安】
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| パッキン交換のみ | 5万円〜 | 一時的な延命処置 |
| オーバーホール (O/H) | 20万円〜 | 専門店での分解整備 |
| リビルト品交換 | 25万円〜35万円 | 最も確実だが高額 |
「高い!」と思いましたか?
しかし、これをケチるとエンジンの調子は一生戻りません。
逆にここさえバチッと整備すれば、黒煙も減り、燃費も向上し、あと20万kmは走れます。
中途半端なパッキン交換でお茶を濁すより、一度フルオーバーホールすることを強く推奨します。
▼ 専門家のワンポイント
噴射ポンプのオーバーホールは、ディーラーではまず断られます。「デンソー」などのディーゼル機器専門店に外注することになりますが、脱着作業自体を受けてくれる工場が減っています。
「金はあるけど直してくれる人がいない」。これが旧車維持の最大のリアルです。
ランクル60の水回り・足回りの定番トラブル

エンジン本体は頑丈ですが、それを冷やす系統や、重量級の車体を支える足回りは悲鳴を上げています。
ラジエーターとホース類からの冷却水漏れ
ラジエーターのアッパータンク(樹脂または真鍮)のカシメ部分から冷却水が漏れます。
放置するとオーバーヒートでエンジンが歪み、廃車コースです。
- 修理費: ラジエーター交換で約6〜8万円。
- 注意点: ホース類も全交換推奨。一本でも古いホースが残っていると、そこが破裂します。
ナックルハブのグリス漏れ・パワステポンプ
フロントタイヤの内側(ナックル部分)から、ドロドロとしたオイル混じりのグリスが垂れてくる症状です。
これでホイールの内側や駐車場を汚します。車検にも通りません。
- ナックルO/H: 左右で約8〜10万円。
- パワステポンプ: オイル漏れや「ウィーン」という異音が発生。リビルト交換で約4〜5万円。
ランクル60の維持・修理手順

故障した際の基本的な立ち回りは以下の通りです。
いざという時、この手順が頭に入っているかどうかが、愛車の生死を分けます。
水温計の上昇、異音、甘い匂い(冷却水漏れ)を感じたら、即座に安全な場所に停車してください。
「あと少しだから」と無理に走ると、エンジンヘッドが歪み、修理費が桁違いになります。
迷わずプロを呼びましょう。自分で何とかしようとボンネットを開けても、路上では何もできません。
ここが最重要です。
一般的なカー用品店やトヨタディーラーでさえも、「部品がない」「データがない」と入庫を断られるケースが大半です。
購入前から「ランクルに強い専門店」を見つけ、挨拶を済ませておくこと。これが維持の絶対条件です。
「じゃあ、部品はどうやって手に入れるんだ?」と不安になった方へ。
メーカー廃盤部品の現状と、中古・リビルト品を入手する「最後の手段」については、下記の記事で解説しています。
\ 「部品がない!」と絶望する前に読む記事 /
大地編集長のワンポイントアドバイス

辛口で言わせてもらいますが、「壊れない車」が欲しいなら、今すぐブラウザを閉じて、プラドかランクル250の新車を買いに行きなさい。それが賢い選択です。
ランクル60は、私たちが小学生の頃に走っていた車です。人間で言えば還暦過ぎのおじいちゃんに、フルマラソンを完走しろと言うようなもの。膝も笑うし、心臓も止まりかけます。それが当たり前なんです。
しかし、「不便で、手がかかり、金もかかる」。だからこそ、愛おしい。
そう思える変態的な感性を持った人だけが、この車のハンドルを握ることを許されます。
オルタネーター、スターター、噴射ポンプ。この3つさえ押さえておけば、致命的な不動状態はかなり防げます。「止まったらレッカーで運ばれる自分もまた一興」と笑えるくらいの図太さを持って、泥臭いカーライフを楽しみましょう。
あと、修理費用のための貯金(通称:ランクル積立)は月3万円は確保しておきましょう。これは脅しではありません、現実です。
ランクル60の故障をより深く知るための関連記事

ここではエンジンの主要な故障を紹介しましたが、快適装備や他の消耗品も当然のように壊れます。
「走る・曲がる・止まる」以外にも、覚悟すべきポイントは山ほどあります。
特にエアコン(冷房)の故障は、日本の夏においては命に関わります。また、窓ガラスが落ちて上がらなくなるパワーウィンドウのトラブルも日常茶飯事です。
エアコン(クーラー)の故障リスクや修理費用については、下記の記事で詳しく解説しています。
\ 灼熱地獄で彼女にフラれたくない人へ /
窓が動かないパワーウィンドウのトラブルと対策については、下記の記事で詳しく解説しています。
\ 雨の日、窓が閉まらず車内水浸し…を防ぐ /
これだけ壊れても、なぜ人はランクルに魅了されるのか? 修理を繰り返してでも乗る価値があるのか?
ランクル20万キロの世界については、下記の記事で語っています。
\ 壊れても愛される理由がここにある /
ランクル60故障に関するよくある質問(Q&A)

読者の方から寄せられる「甘い期待」を、ここでバッサリと切り捨てておきます。
覚悟は決まりましたか?JAF加入は必須です

ここまで読んでもまだ「ランクル60が欲しい」と思っているなら、あなたは本物です。
ようこそ、底なし沼へ。
ランクル60に乗るための条件を、最後にもう一度叩き込んでおきます。
- 故障は「直す楽しみ」と捉えるメンタルを持つ。
- オルタネーターと噴射ポンプは納車直後に点検・交換する。
- 修理費用として常に30〜50万円はプールしておく。
- この金額を「高い」と感じるなら、購入は見送るべきです。家族を不幸にします。
- JAFとロードサービス特約には必ず加入する。
脅しばかり書きましたが、手をかければかけるほど愛着が湧くのがランクル60です。
便利で快適な最新SUVでは絶対に味わえない、泥臭くも濃密なカーライフがそこにはあります。
「不合理を愛する」。そんなあなたとなら、どこかのフィールドで美味しいお酒が飲めそうです。
なぜ私がここまで辛口な本音を書けるのか?
私の過去の失敗と、50万kmを走破した車歴は、下記のプロフィールで赤裸々に語っています。

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【免責事項】
※本記事に記載されている修理費用は、筆者の経験および取材に基づく目安(2025年時点)です。部品の供給状況や依頼する整備工場により、実際の価格は大きく変動する可能性があります。
※DIYによる整備・修理は自己責任で行ってください。作業による不具合や事故について、当サイトは一切の責任を負いません。不安な場合は必ずプロの整備士に依頼してください。
ランクル60の総合的な解説に戻る場合は、下記の記事を参考にしてください。
\ 60の全てを知り尽くすなら、まずはここから /



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