「ランクル80に乗るなら、絶対にディーゼルがいい。」
その気持ち、痛いほど分かります。1HDエンジンのあの地を蹴り出すようなトルク、アイドリング時の腹に響く振動。一度味わうと、静かすぎる現代のSUVがすべて「おもちゃ」に見えてしまうほどの魔力がありますよね。
しかし、現実は非情です。もしあなたが都市部(規制地域)にお住まいで、世帯年収が800万円以下、かつこれから私立中学受験や大学進学で教育費が跳ね上がる時期なら、この記事は「絶望の書」になるかもしれません。
今から80のディーゼルに乗ろうとすれば、「NOx・PM法」という法律の壁に直面します。これを乗り越えるには、車両代とは別に100万円単位の現金が一瞬で消えます。「それでも乗りたいか?」と、踏み絵を迫られているようなものです。
この記事では、ランクル80のディーゼルエンジン(1HD/1HZ)の魅力と寿命、そして避けては通れない「規制解除」の費用と現実を、オーナー歴50万kmの私が忖度なしの実数値で解説します。結論から言えば、「総額500万払ってでも一生乗り続ける覚悟」がないなら、大人しくガソリン車を選ぶのが賢明です。
▼ この記事の要約(3行)
- 1HDエンジンは至高だが、維持費は「道楽」の域を超える。
- 規制地域内で乗るための「解除費用100万円」は、性能向上ゼロの「捨て金」だ。
- 中途半端な覚悟ならガソリン車(1FZ)を買え。それが家族と財布を守る道だ。
ランクル80ディーゼル(1HD・1HZ)とは?最強の心臓部

ランクル80のディーゼルエンジンとは、「1989年から1997年にかけて製造された、トヨタ史上最も堅牢かつトルクフルな直列6気筒エンジン(1HD/1HZ型)」のことです。
一言で言えば、「現代車では二度と作れないオーバークオリティの塊」です。現代のクリーンディーゼルのように電子制御(アドブルー等)でガチガチに管理された繊細なエンジンとは違い、分厚い鋳鉄製のブロックで作られた、頑丈そのものの機械です。50万km、いや100万km走ってもエンジン本体は壊れないと言われる伝説は、ここから生まれています。
しかし、その「頑丈さ」と引き換えに、現代の基準では許されない「環境負荷(黒煙)」と「騒音」を撒き散らすことも事実です。
【比較】1HD(ターボ)と1HZ(ノンターボ)の決定的な差
80系には大きく分けて2種類のディーゼルエンジンが存在します。どちらを選ぶかで、カーライフ(とストレス)は天と地ほど変わります。
- 1HD(ターボ): 80系の主役。排気量4.2L、爆発的なトルクと加速力を持つ「麻薬」。
- 1HZ(ノンターボ): 70系譲りの質実剛健なエンジン。構造が単純で耐久性は神レベルだが、80の重い車体(約2.3トン)には決定的に非力。
ランクル80ディーゼルの種類・スペックと不都合な真実

ここで、各エンジンのスペックと「現場のリアル」を比較表にしました。
スマホで見やすいよう、カタログ値と「現場の毒(本音)」をセットにしています。
| エンジン (時期) | スペックと現場のリアル (毒) |
|---|---|
| 1HD-T (前期・中期) | 【スペック】 165ps / 37.0kg・m 【毒】 ドッカンターボで加速は最強だが、メタル焼けのリスクあり。 燃費はリッター6〜8km。軽油代だけで月2〜3万は飛びます。 |
| 1HD-FT (後期) | 【スペック】 170ps / 38.7kg・m 【毒】 24バルブ化された完成形だが、中古価格が異常。 車体だけで300万超えが当たり前。部品も一部枯渇気味。 |
| 1HZ (全期 STD/GX) | 【スペック】 135ps / 28.5kg・m 【毒】 耐久性は神だが、とにかく遅い。 高速の合流はベタ踏みでも冷や汗。 坂道で軽自動車に抜かれる屈辱を味わいます。 |
リセールと寿命の現実
ハッキリ言います。1HD-FT(後期ディーゼルターボ)のリセールバリューは異常です。
走行30万kmでも平気で300万円以上のプライスがつきます。これは資産価値としては優秀ですが、逆に言えば、これから買う人はその「高値掴み」を覚悟しなければなりません。
寿命に関しては、エンジン本体よりも先に補機類が死にます。
- 噴射ポンプ: 燃料漏れや始動不良。リビルト交換で約30万円。
- オルタネーター: 発電不良。交換で約5万〜8万円。
- スターター: エンジンがかからない。交換で約5万〜8万円。
「エンジンは丈夫だから」という言葉を鵜呑みにしてメンテナンスを怠ると、ある日突然、高速道路でエンジンストールし、レッカー代と修理費でボーナスが消し飛びます。私は実際に、整備不良の80がJAFにドナドナされていく姿を何台も見てきました。
ランクル80ディーゼルの最大の壁「NOx・PM法」と解除費用

都市部(首都圏、愛知、大阪など)に住む人にとって、ここが最大の絶望です。
指定地域内でディーゼル車を登録・継続車検するには、国の定める排ガス基準をクリアしなければなりません。しかし、80系の当時のディーゼルは、今の基準では「黒煙モクモクの環境汚染車」扱いです。そのままではナンバープレートすら付きません。
規制地域内で乗るための「2つの選択肢」とリスク
この壁を越えるには、以下のどちらかを選ぶしかありません。
- NOx・PM法適合車に改造する(ガス検)
- 費用: 80万〜150万円(車両代別・現金一括が基本)
- 内容: 特殊な触媒を取り付け、国の試験機関で排ガス試験(ガス検)を受ける。
- リスク: 施工できるショップが限られる上、パワーダウンする可能性があります。さらに言えば、この100万円は車の性能を上げるものではなく、単に「乗る権利」を買うための捨て金です。売却時の査定にもほとんど反映されません。
- 3ナンバー(ガソリン車)登録のままエンジン換装?
- これは現実的ではありません。構造変更の手間と費用がさらに莫大になります。
- 【警告】 規制地域外の実家などで登録して使用する行為(車庫飛ばし)は、車庫法違反(犯罪)です。検挙例もあり、絶対にやってはいけません。
大地編集長のワンポイントアドバイス

正直に言います。私が今から80を買うとして、予算が総額400万円以下なら、迷わず「ガソリン車(1FZ)」を選びます。
ディーゼルの「1HD」は確かに最高です。あの背中を蹴飛ばされるような加速感は、ガソリン車にはない麻薬的な魅力があります。しかし、規制地域内で乗るために車両代300万+解除費用100万+初期整備50万=450万を出す価値があるか?と問われると、冷静になるべきです。
その100万円があれば、ガソリン車の燃費の悪さ(リッター4km)を数年分カバーできます。また、80は全長約5m、全幅約1.9mの巨体です。都市部の狭い駐車場やコインパーキングでは、ドアが開けられず乗り降りに苦労します。奥様がスーパーに行くのに使う車ではありません。
「それでも俺は、あのディーゼルの音が聴きたいんだ!」という狂気にも似た情熱がある人だけが、この茨の道を進んでください。私はそういう変態、嫌いじゃないですけどね。
ランクル80ディーゼルをより深く知るための関連記事

80のディーゼルを維持するということは、ただ燃料を入れるだけではありません。「次にどこが壊れるか」を常に予測し、先回りする戦いです。
ここで紹介する記事は、これからあなたが直面するであろう「現実」そのものです。納車されてから泣かないために、必ず目を通しておいてください。
維持の要!燃費とオイル管理
ディーゼルエンジンの血液とも言えるのがエンジンオイルです。カタログ燃費を信じてはいけません。実燃費の悪さと、オイル交換をサボった時に訪れる「エンジンの死」について、オーナーの実体験ベースで解説しています。
\ リッター6kmの現実を受け入れられますか? /
\ 3000km交換をサボるとエンジンブロー? /
避けて通れない故障と寿命の真実
「ランクルは壊れない」というのは、「正しく金をかけて整備していれば」という前提条件がつきます。
噴射ポンプからの燃料漏れ、エアコンの死、ハブのガタつき。80系特有の「故障の予兆」と「修理費の松竹梅」を、予言書としてまとめました。
\ 次に壊れる場所、予言します /

\ 50万km走るための条件とは /
比較検討:100系・60系のディーゼル事情
80が高すぎると感じるなら100系、もっとクラシックな泥臭さが欲しいなら60系。
「自分にはどの世代のディーゼルが合っているのか?」迷っているなら、それぞれの規制事情と乗り味を知ることで、80という選択が正解かどうかがハッキリ見えてきます。
\ 快適性なら100系?規制も緩い? /
\ さらに古い60系は登録できる? /
ランクル80ディーゼルに関するよくある質問(FAQ)

ここでは、私の元によく届く「迷える子羊」たちからの質問に、忖度なしで回答します。
まとめ:最後に、これから80に乗るあなたへ

ランクル80のディーゼルに乗るということは、単なる移動手段を買うのではなく、「日本の自動車遺産」を預かるということです。
- 1HDエンジンは、世界最高峰の耐久性とトルクを持つ名機です。その鼓動は、電気自動車では絶対に味わえない感動をくれます。
- しかし、規制地域内で乗るには、車両代とは別に100万円を「ドブに捨てる」覚悟が必要です。
- 中途半端な気持ちならガソリン車を。狂気にも似た愛があるならディーゼルを。
あなたがどちらを選んでも、ランクル80という車が人生を豊かにしてくれることに変わりはありません。
もし「この個体でいいのか?」「騙されていないか?」と不安になったら、私の経験が詰まったプロフィールを読んでみてください。私が過去に踏んだ地雷(失敗)を知ることで、あなたの財布を守れるはずです。

状況別:80ディーゼルを手に入れるための3つの具体的アクション

ここまでの話を聞いて、それでも「俺は80のディーゼルに乗るんだ!」と決意したあなたへ。
その熱い想いを無駄にしないため、状態の良い個体を手に入れ、維持するための「生存戦略」を授けます。
1. 市場に出ない「良質な個体」を探す
ネットに出ている在庫は「売れ残り」か「訳あり」の可能性があります。本当に良い80は、表に出る前にマニアの間で売れてしまいます。
プロに依頼して、非公開在庫から探してもらうのが一番の近道です。
\ 市場に出ない「非公開在庫」をプロが探す /
2. 規制解除費用「100万円」を捻出する
今の愛車を下取りに出してはいけません。ディーラーの下取り額では、規制解除費用どころかタイヤ代にもなりません。
オークション形式で競わせて、1円でも高く売却し、80を迎えるための軍資金(解除費用)を稼ぎ出してください。
\ 規制解除費100万を今の愛車で捻出する /
>>一括査定はもう古い!より高く愛車を売却できるクルマ買取オークション【ユーカーパック】
3. 旧車でも「ローン」を通す
30年前の車は、通常のオートローンが通りにくいのが現実です。「車は欲しいのに審査で落ちた」なんて、悔やんでも悔やみきれません。
審査に不安があるなら、自社ローンという選択肢を持っておくことが、あなたの夢を繋ぎ止めます。
\ 30年前の旧車でもローン審査に通る! /
>>ローンに不安がある方専門の通る自動車ローン【げんき自動車の自社ローン】
※免責事項
本記事に記載されている修理費用、規制解除費用は、執筆時点(2025年)の相場に基づく目安であり、地域や整備工場、車両の状態によって異なります。また、NOx・PM法の適合判断や車検の合否については、必ず管轄の陸運局または専門ショップへ直接ご確認ください。違法改造や不正登録(車庫飛ばし等)については、当メディアは一切推奨せず、それによる不利益について一切の責任を負いません。
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あなたの決断が、妥協なき最高のカーライフに繋がることを、心から願っています。
ランクル80の総合的な維持費や選び方に戻る場合は、下記の記事を参考にしてください。
\ 維持費の全貌をもう一度確認する /


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