深夜2時、寝静まった家族の横で、スマホの画面明度を下げてカーセンサーとYouTubeを行き来していませんか?
「70が欲しい。でも、再再販のATにするか、男のロマンで再販MTを狙うか、それとも渋い丸目か…」
その悩み、痛いほどよく分かります。70系は40年続く「生きた化石」であり、モデルごとにエンジンも、燃料も、そして「維持の痛み」も全く異なるからです。
見た目は似ていても、中身は別物。選び方を間違えると、納車から半年後、給油レシートの束と修理見積もりを前に「こんなはずじゃなかった」と頭を抱えることになります。
結論から言えば、「家族の平和を守るなら再再販」「独身貴族・趣味全振りなら再販」「オイルの匂いを愛せるなら丸目」です。
この記事では、歴代ランクルを乗り継ぎ、指の爪の間までオイルまみれになってきた私「大地」が、再再販(GDJ76)・再販(GRJ76)・丸目(HZJ等)の決定的な違いを、カタログスペックではなく「現場の維持費と生活の匂い」の観点から徹底比較します。
この記事を読み終える頃には、あなたの財布事情と家庭環境に合致した「一生モノの相棒」が、明確に見えているはずです。
ランクル70という底なし沼へ、片足突っ込む覚悟はできていますか?
【この記事の要約】
- 再再販 (GDJ76):唯一のAT・3ナンバーだが、AdBlue補充と盗難リスクが激高。
- 再販 (GRJ76/79):ハイオク・リッター5km・MTのみ。維持費と家族説得が最難関。
- 丸目 (HZJ等):NOx・PM法で乗れない地域あり。振動と匂いは「味」か「苦痛」か。
ランクル70の種類とは?再再販・再販・丸目の3世代を定義

まず、混乱しがちな「3つの世代」を明確に定義します。ランクル70とは、1984年の登場以来、基本設計を変えずに生産され続けているヘビーデューティー4WDですが、大きく分けて以下の3種類が存在します。
1. 【現行】再再販モデル(2023年〜)
型式は「GDJ76W」です。2023年11月に復活した最新モデルで、「3ナンバー(乗用登録)」「AT(オートマ)」「ディーゼル」という、現代のファミリーユースにも耐えうる仕様に進化したのが特徴です。
2. 【2014年】再販モデル(2014年〜2015年)
型式は「GRJ76K(バン)」「GRJ79K(ピックアップ)」です。誕生30周年を記念して1年間限定で販売されました。「1ナンバー(貨物)」「MT(マニュアル)」「ハイオクガソリン」という、非常に尖った仕様です。
3. 【旧車】丸目モデル(1984年〜2004年)
型式は「HZJ77」「HZJ76」など多数存在します。いわゆる「オリジナルの70」で、ヘッドライトが丸く、質実剛健なディーゼルエンジン(1HZ等)を搭載しています。排ガス規制(NOx・PM法)の対象となる車両が多く、維持には専門知識が必要です。
【現行】再再販(GDJ76)の特徴|待望のATとディーゼル

2023年に復活した「再再販」は、これまでの70の常識を覆しました。最大のトピックは「AT免許で乗れる」「3ナンバー化で車検が2年ごと」になった点です。
| 項目 | 再再販 (GDJ76W) スペック |
|---|---|
| エンジン | 2.8L ディーゼルターボ (1GD-FTV) |
| トランスミッション | 6速AT |
| 最高出力/トルク | 204ps / 500N・m |
| 燃料・燃費 | 軽油・8.0〜10.0km/L (実測) |
| ナンバー区分 | 3ナンバー (乗用) |
| 新車価格 | 480万円〜 |
進化と引き換えの「不都合な真実」
「ATでディーゼル、最強じゃないか」と思うかもしれませんが、現場目線ではデメリットも明確です。
まず、AdBlue(尿素水)の補充地獄です。昔のディーゼルのように「軽油さえ入れれば走る」わけではありません。約1,000km〜2,000km走行ごとに残量を気にし、定期的に補充する手間が発生します。
また、最新の排ガス浄化装置(DPF)がついているため、近所のスーパーへの買い出し(チョイ乗り)ばかり繰り返していると、フィルターに煤(スス)が詰まります。ディーラーで強制燃焼となれば、時間も工賃(約1万円〜)も奪われます。
そして何より、盗難リスクが異常に高いです。CANインベーダー等の最新手口に対して、純正セキュリティは無力に等しいと考えてください。納車されたその足でセキュリティショップへ向かわなければ、翌朝には駐車場が空になっている可能性があります。
大地の本音メモ:
私も最新の250系に乗っていますが、この「AdBlue残量」と「DPF再生」の警告灯は精神衛生上よくありません。コンビニへ行くだけなら、正直軽自動車の方が100倍気楽です。70を「便利な足」として買おうとしているなら、絶対にやめておいた方がいいです。
また、再販モデルとの外装やパーツの互換性については、以下の記事でマニアックに比較しています。
\ 再販と再再販、パーツ流用はできる? /
【2014年】再販(GRJ76/79)|ハイオクMTの野獣

30周年記念で出たこのモデルは、ある意味で「最もマニアックで硬派」な70です。見た目はクラシックですが、心臓部はプラドやFJクルーザーと同じ大排気量ガソリンエンジンです。
| 項目 | 再販 (GRJ76K) スペック |
|---|---|
| エンジン | 4.0L V6ガソリン (1GR-FE) |
| トランスミッション | 5速MTのみ |
| 最高出力/トルク | 231ps / 360N・m |
| 燃料・燃費 | ハイオク・5.0〜6.0km/L (実測) |
| ナンバー区分 | 1ナンバー (貨物・毎年車検) |
ガソリン大排気量の「激痛」
この車を選ぶなら、「給油のたびに心が削れる音」を聞く覚悟が必要です。
燃料タンク容量は130L。ハイオク単価180円で満タンにすると、一度の給油で2万3千円が吹き飛びます。それをリッター5kmで燃やし尽くすのです。世帯年収が高くても、このランニングコストは精神衛生上よろしくありません。
また、「MT(マニュアル)しかない」という点も、家族持ちには高いハードルです。
「俺が運転するからいい」と説得して買ったものの、帰省ラッシュの渋滞で左足が痙攣し、助手席の妻には「なんで私が代われない車を買ったの?」と詰められる。そんな光景が目に浮かびます。
大地の本音メモ:
1ナンバーなので、高速道路料金が「中型車」扱いになり、普通車より約2割高くなります。休日のETC割引も適用されません。「車両価格が安いから」と中古の再販に飛びつくと、維持費のジャブでじわじわと真綿で首を絞められます。
しかし、V6ガソリンの静粛性とパワーは圧倒的です。ディーゼルのガラガラ音が嫌いな人にとっては、唯一無二の選択肢となります。
【旧車】丸目(HZJ等)|本物の道具感と排ガス規制の壁

「やっぱりランクルは丸目じゃないと」という根強いファンが愛するのがこの世代です。電子制御がほとんどないため、構造がシンプルで「自分で直せる」範囲が広いのが魅力です。
| 項目 | 丸目 (HZJ77/76等) スペック |
|---|---|
| エンジン | 4.2L ディーゼル (1HZ) |
| トランスミッション | 4速AT / 5速MT |
| 最高出力/トルク | 135ps / 28.5kg・m |
| 燃料・燃費 | 軽油・7.0〜9.0km/L (実測) |
| ナンバー区分 | 1ナンバー / 4ナンバー |
命取りになる「NOx・PM法」
丸目モデル最大の壁は、「特定の地域(首都圏や大阪など)では登録できない・乗れない」という法律(NOx・PM法)です。
対策地域内で乗るためには、高額な浄化装置をつけるか、ガソリンエンジンに載せ替えるなどの「適合対策」が必要で、これには100万円単位の費用がかかります。
さらに、「匂いと振動」も覚悟してください。
古いディーゼル特有の未燃焼ガスの匂いは、服や髪に染み付きます。アイドリング中の振動は、内装のビビリ音を奏で続け、助手席のドリンクホルダーのコーヒーは波紋を描き続けます。
これを「味」と呼べるか、「不快」と感じるか。そこでオーナーとしての適性が試されます。
丸目のレトロなデザインが好きなら、同じくクラシックな「ランクル60」も選択肢に入ります。比較検討したい方は以下を参考にしてください。
\ レトロな丸目が好きなら60もアリ? /
大地編集長のワンポイントアドバイス

ズバリ言います。「ファッションで乗るなら、再再販(GDJ76)一択」です。
「丸目がカワイイから」という理由で、知識なしに古いHZJ77あたりに手を出すと、確実に火傷します。古い70は、雨漏りもすれば、振動もすごく、夏はエアコンの効きも悪いです。それを「味」として愛せる変態か、自分で工具を握って直せる人間でないと、維持費の泥沼にハマって嫌いになってしまうでしょう。
逆に、再再販モデルは「ランクル70の皮を被った現代車」に近いです。衝突安全ブレーキもつけば、ATで楽に乗れる。それでも、乗り心地は普通のSUVより遥かに硬く、小回りも効きません(最小回転半径6.3mは2トントラック並みです)。
「不便さを楽しむ」余裕があるか。そして、「妻の冷ややかな視線」に耐えうる理論武装ができているか。
まずはそこを自問自答してください。カタログの燃費なんて飾りです。自分の財布と、家族の理解。この2つが揃って初めて、70は最高の相棒になります。
購入検討者が必ずぶつかる「現実的な壁」と突破口

ここまで読んで「それでも70が欲しい!」と思ったあなた。素晴らしい。その狂気こそが70オーナーの資格です。
しかし、情熱だけでは車は維持できません。ここからは、購入前に必ずクリアすべき「現実的な壁」についての詳細資料をお渡しします。
第一の壁:納期とカネ
「欲しい」と思っても、新車は受注停止、中古はプレ値。まずは敵(相場と納期)を知ることから始めましょう。再販・再再販の価格推移と納期の最新情報は、もはや株価のように変動しています。
\ 受注再開はいつ?最新情報をチェック /
\ オプションてんこ盛りの総額は? /
第二の壁:維持費という名のローン
「1ナンバーは税金が安い」という甘い言葉を信じていませんか? 確かに自動車税は安いですが、高速料金、車検頻度、任意保険の罠があります。電卓を叩いて青ざめる前に、この記事でシミュレーションしてください。
\ 1ナンバーと3ナンバー、税金の差に驚愕 /
第三の壁:自分色に染める喜びと苦悩
70を買ってノーマルで乗るなんて、寿司屋に来て玉子だけ食べるようなものです。しかし、リフトアップすれば車検の壁が、タイヤを変えればハミ出しの壁が立ちはだかります。合法的に泥臭くカスタムする方法を伝授します。
\ 車検対応で泥臭くカスタムする方法 /
最終防衛ライン:ライバルとの決別
「やっぱり250の方が快適かな…」「ジムニーで十分じゃないか…」そんな迷いがあるうちは、まだ70を買うべきではありません。ライバル車と徹底比較し、迷いを断ち切るための記事です。
\ 250やジムニーと迷っているあなたへ /
ランクル70再再販に関するよくある質問(Q&A)

結論:どの70を選んでも、そこにあるのは「不便な幸せ」

ランクル70は、世代によって全く異なるキャラクターを持つ車ですが、共通しているのは「圧倒的な不便さ」と、それを補って余りある「所有する喜び」です。
- 再再販 (GDJ76): 信頼性と快適性を両立したい、家族想いのあなたへ。ただし、盗難対策だけは万全に。
- 再販 (GRJ76/79): ガソリンをばら撒いて走ることに背徳感を感じない、豪快なあなたへ。左足の筋肉痛は勲章です。
- 丸目 (HZJ等): 手間とオイルの匂いを愛せる、真の変態(褒め言葉)なあなたへ。その車は、もはや文化財です。
どの70を選んでも、間違いなくあなたの人生を豊かにしてくれます。
不便ささえも愛おしくなる。休日にボンネットを開けるのが楽しみになる。
そんな「泥臭いカーライフ」の世界で、あなたをお待ちしています。
なぜ私がここまで辛口な本音を書けるのか?私の過去の失敗と車歴は、下記のプロフィールで赤裸々に語っています。

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【失敗しない70探しの最適解】
最後に、私が考える「最も失敗リスクの低い70探しの方法」を整理しました。
特に丸目や再販の中古車は、素人がネットの写真だけで判断すると、修復歴隠しや塩害(サビ)で痛い目を見ます。
| 探し方 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| ディーラー | 安心感・保証 | 在庫がない・納期未定 | 新車の再再販を気長に待てる人 |
| カーセンサー等 | 自分で選べる | 状態の判断が難しい | 目利きに自信がある玄人 |
| 非公開在庫提案 | プロが探してくれる | 自分で探す楽しみは減る | 失敗したくない・忙しい人 |
「プロに探してもらう」というのは、実は最も効率的なリスクヘッジです。まだネットに出ていない「買取直後の良質な車両」を優先的に案内してもらえる可能性があります。
\ ネットに出ない「非公開在庫」を優先案内 /
ランクル70シリーズ全体のより詳細なスペックや、他モデルとの比較に戻る場合は、下記の親記事を参考にしてください。
\ 最新250と70、どっちが幸せになれる? /

【免責事項】
本記事に掲載している価格、スペック、法規制(NOx・PM法等)に関する情報は、執筆時点(2025年1月)のものです。中古車相場や納期、法規制は変動する可能性があるため、最終的な購入判断や契約は、必ず公式サイトや販売店で最新情報をご確認の上、ご自身の責任で行ってください。カスタムや車両維持に関するトラブルについて、当メディアは一切の責任を負いかねます。

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