「10年落ちの中古車に、新車以上の価格を払う」。
普通の金銭感覚なら、これは完全なる異常事態です。狂気と言ってもいい。
しかし、ランクル70を検討しているあなたにとって、これは避けて通れない現実。
そして、「なんでそんな古くてボロい車に500万も払うの?」と、奥様や家族から冷ややかな目で見られる孤独な戦いでもありますよね。
その情熱は痛いほど分かります。私もそうでしたから。
ですが、勢いだけでハンコを押すと待っているのは地獄です。
「下回りが腐食して車検に通らない個体」や「購入翌月にエアコンとオルタネーターが死んで50万飛ぶ未来」が、口を開けて待っています。
この記事では、歴代ランクルを乗り継ぎ、整備の現場で「死んだ70」を何台も見てきた私が、「絶対に手を出してはいけない中古ランクル70の特徴」と、「具体的な維持費・修理費の現実」を数字で突きつけます。
綺麗なカタログ写真は見飽きましたよね?
ここからは、オイルと錆の匂いがする現場の話をします。
※70系の全貌や歴史については、下記の記事で詳しく解説しています。
\ 3分でわかる! ランクル70の歴史と全モデル解説 /

ランクル70中古車市場の異常な相場と種類

まず結論から言います。
現在のランクル70中古車市場は、「需要と供給のバランスが崩壊している異常地帯」です。
「古ければ安い」という中古車の常識は、ここでは通用しません。
大きく分けて、あなたが狙うべきターゲットは以下の2種類。
1. 再販モデル(2014-2015年式)
再販モデルとは、ランクル30周年記念として2014年から約1年間限定で国内販売されたモデル(GRJ76バン/GRJ79ピックアップ)のことです。
- 特徴: 現代的なV6ガソリンエンジン(1GR-FE)、ハイオク仕様、MTのみの設定。
- 相場: 400万〜600万円(新車価格は約360万円でした)。
- リスク: 新車価格より高いプレミア相場です。「投資」として買うならアリですが、実用車として乗り潰すつもりなら高値掴みの覚悟が必要です。
2. 丸目モデル(〜2004年式)
丸目モデルとは、1984年の登場から2004年の販売終了まで生産された、ディーゼルエンジン(1HZなど)搭載のオリジナル70のことです。
- 特徴: 前後リーフサス(〜1999)によるトラックのような乗り心地、耐久性の塊であるディーゼルエンジン。
- 相場: 300万〜500万円以上(走行20万kmオーバーでも平気でこの価格がつきます)。
- リスク: 最大の壁はNOx・PM規制(排ガス規制)です。首都圏や大阪などの指定地域では登録不可となります。乗るなら高額な浄化装置(100万円〜)の適合と構造変更手続きが必要です。
大地編集長のワンポイントアドバイス

中古車サイトで「おっ、安い!」と思って飛びつくと、大抵がNOx・PM規制不適合のディーゼル車か、修復歴ありの再販モデルです。
特に丸目のディーゼルを都心で乗ろうとしているなら、車両価格プラス100万円(適合費用)を用意するか、諦めてください。
「なんとかなる」と思って買うのが最も危険な賭けです。私の知人がそれで車検を通せず、泣く泣く手放したのを目の当たりにしています。
ランクル70中古の「維持費」と「修理費」の現実

「500万円の車が買える」ことと、「70を維持できる」ことは別次元の話です。
家族を説得するために必要な、リアルな年間維持費と、覚悟すべき修理費を提示します。
年間維持費シミュレーション(1万km走行/年)
70系は基本的に「貨物登録(1ナンバー/4ナンバー)」が多いため、税金は安いですが車検は毎年となります。
| 項目 | 再販(GRJ76)1ナンバー/ガソリン | 丸目(HZJ76)1ナンバー/ディーゼル | 備考 |
|---|---|---|---|
| 自動車税 | 16,000円 | 16,000円 | 乗用登録だと88,000円〜 |
| 重量税 | 12,300円 | 12,300円 | 1年車検ごとの支払い |
| 自賠責保険 | 12,850円 | 12,850円 | 12ヶ月契約 |
| 車検代行・整備 | 約50,000円〜 | 約50,000円〜 | 毎年発生します |
| 燃料代 | 約300,000円 (ハイオク/5km/L) | 約150,000円 (軽油/9km/L) | ガソリン車の負担が激重 |
| 任意保険 | 約80,000円 | 約80,000円 | 条件による |
| 合計(概算) | 約471,150円 | 約321,150円 | 駐車場代・ローン除く |
再販モデル(ガソリン)の場合、月々約4万円が「ガソリン代と維持費だけ」で消えていきます。
これにローン返済と駐車場代が乗ります。
「たまの休みに乗るだけだから」と思っても、自動車税と車検は毎年容赦なくやってきます。これが現実です。
突発的な「修理費リスト」
20万km近い個体を買うなら、以下の出費は「故障」ではなく「定期メンテナンス」と考えて予算取りしてください。
これを「故障だ!」と騒ぐ人は、70に乗る資格がありません。
- タイミングベルト交換: 約5〜8万円(10万km毎必須)
- 噴射ポンプOH(ディーゼル): 約20〜30万円(燃料漏れ・黒煙対策)
- オルタネーター交換: 約5〜8万円(突然死します。予兆なし)
- ラジエーター交換: 約5〜8万円(カシメからの水漏れは持病)
- エアコン修理(全交換): 約20〜30万円(古い70のエアコンは消耗品です)
- マニュアルハブOH: 約3〜5万円(固着している個体多数。いざという時4WDに入りません)
購入車両価格+50万円の予備費がないと、買った瞬間にただの「巨大な置物」になります。
ランクル70中古の「錆」と「過走行」の不都合な真実

金銭面のリスクを理解した上で、次に現車確認で見るべき物理的なリスク、それが「錆(サビ)」です。
エンジンは直せますが、フレームの腐食は直せません。車検に通らない=廃車です。
下回りの錆は「車の癌」である
ランクル70のフレームは頑丈ですが、塗装被膜はそこまで強くありません。
特に融雪剤(塩カリ)が撒かれる雪国で使用されていた個体や、海沿いの個体は要注意です。
店員に嫌がられても、必ず地面に這いつくばって下回りを見てください。
| チェック箇所 | 危険度 | 解説 |
|---|---|---|
| フレーム後端 | ★★★★★ | リアバンパー裏のクロスメンバーが腐食して穴が開いている個体は即廃車レベルです。指で押してペコペコしたらアウト。 |
| ドア下部 | ★★★★ | 袋状になっているため、内側から錆びて塗装が浮いてきます。板金修理代が高額になります。 |
| フェンダーアーチ | ★★★ | オーバーフェンダーを外すと鉄板がボロボロ、というケースが多発しています。 |
最もタチが悪いのは、「販売前にシャーシブラック(黒塗り)で錆を隠蔽している個体」です。
塗りたてでテカテカしている下回りは、逆に怪しいと思ってください。ライトで照らし、塗装の下が浮いていないか、爪で突っついて確認する必要があります。
走行距離20万kmは通過点だがメンテナンス次第
「10万km超え=過走行」というのは一般車の基準です。
ランクル70(特に1HZディーゼル)にとって、10万kmはようやく慣らし運転が終わった程度。これは誇張ではありません。
しかし、「ランクルは壊れない」という神話を過信して、メンテをサボった20万kmは地雷です。
前述の「修理費リスト」にある部品が、どのタイミングで交換されているか、整備記録簿で確認してください。
「記録簿なし」の20万kmは、中身がどうなっているか分からないブラックボックスです。
安くても絶対に手を出さないでください。
ランクル70中古車選びの具体的な手順と対策

リスクを理解した上で、それでも70に乗りたい同志のために、失敗しない選び方の手順を提示します。
1. ガソリンかディーゼルかを決める
- 再販(ガソリン): 全国どこでも登録可能。燃費はリッター5kmと最悪ですが、NOx規制の心配がないため、比較的選びやすい選択肢です。
- 丸目(ディーゼル): 規制地域外なら維持費(燃料代)は安い。耐久性とトルクは最強ですが、個体選びの難易度はSSS級。
2. 専門店の「保証」を買う
ハッキリ言いますが、ランクル70の整備実績がない一般的な販売店や、知識のない格安店で70を買うのは博打です。
FLEX(フレックス)やランクル専門店で購入することを強くお勧めします。
- メリット: 70特有の弱点を知り尽くしており、予防整備をしてから納車してくれる。
- メリット: 万が一の故障時も、部品のストックやノウハウがある。
- デメリット: 車両価格は相場より高め。
「高い車両価格」には「安心料」と「整備代」が含まれていると考えてください。ここでケチると、後で倍以上の修理費を払うことになります。
【編集長のアドバイス】
専門店で見つからない場合や、まずは相場感を知りたい場合は、大手ネットワークの「非公開在庫」を探ってもらうのも有効な手段です。ネットに出る前の良質な個体が見つかることもあります。
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3. オークション相場の現実を知る
適正価格を知らずに店に行くと、高値で掴まされるリスクがあります。現在の市場動向を把握しておきましょう。
中古相場の詳細や、オークションの裏側については、下記の記事で詳しく解説しています。
\ 業者の「仕入れ値」を暴露。相場の裏側を知る /
ランクル70中古に関するよくある質問(Q&A)

最後に:ボロくても高い、価値ある一台を見極める覚悟はあるか

ランクル70の中古車選びは、宝探しというより「地雷撤去作業」に近いです。
- 錆チェック: フレームとボディの腐食は絶対に妥協しない。
- 整備予算: 車両価格+50万円の修理費を常に用意する。
- 店選び: 「70を知らない店」では絶対に買わない。
これさえ守れば、ランクル70は買った値段とほぼ同じ価格で売れる、最強の「資産」になります。
修理費がかかったとしても、それは「維持費」ではなく「投資」です。
ボロボロの70を直しながら乗る。
手は油まみれ、財布はいつも軽い。
それでも、エンジンをかけた瞬間のあの振動と、どこへでも行けるという全能感は何物にも代えがたい。
その覚悟がある同志だけが、この車のオーナーになる資格があります。
ようこそ、修羅の道へ。
購入前の最終チェック:資金と保険
ランクル70は高額です。少しでも安く乗り出すために、今乗っている愛車はディーラー下取りではなく、買取相場の高いオークション形式で売却して軍資金を作りましょう。
下取りより50万円高く売れれば、それがそのまま「最初の整備費用」になります。
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また、70は車両保険の加入が必須級ですが、保険料は高額になりがちです。契約前に必ず見積もりをとって、維持費の全体像を把握しておくことを強く推奨します。
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「やっぱり70はハードルが高いかも…」と思った方への別解
予算や快適性で迷っているなら、以下の選択肢も検討してみてください。逃げるのも勇気です。
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